東レ、アルミ合金と同等強度の炭素繊維樹脂を開発…自動車軽量化に貢献

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東レは、アルミダイキャストと同等の引張強度を持つ射出成形可能な炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の開発に成功したと発表した。

今回開発した炭素繊維強化PPS樹脂は、アルミダイキャストよりも45%軽量で、PPSの持つ耐熱性、難燃性、耐薬品性などを保持する。従来のガラス繊維強化PPS樹脂と同様、射出成形機を使って成形可能で、金属材料に比べ、成形品のデザイン自由度が向上する。自動車や電気、機械など幅広い産業分野で金属代替材料として展開する。

鋳造素材であるアルミダイキャストは、生産性や引張強度が高く、自動車やバイクのホイール、各種エンジン部品、機械部品などに採用されている。

東レは独自の長繊維炭素繊維強化ペレット製造技術、炭素繊維とPPS樹脂の界面接着性を改良する技術を適用することで、射出成形可能なPPS系材料としては、世界で初めてアルミダイキャストと同等の引張強度レベルを達成することに成功した。

東レでは、PAN系炭素繊維「トレカ」を使用し、独自のポリマーアロイ技術、ポリマー改質技術を活用して、エンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性樹脂を組み合わせることで、射出成形が可能な炭素繊維強化熱可塑性樹脂「トレカ・ペレット」を展開してきた。軽量、高強度、低線膨張率、電磁波シールド特性、摺動性などの特長を活かし、既に、自動車部品や家電・OA機器部品、自転車部品などに採用されている。

PPSをベースとする「トレカ・ペレット」は、これらの特長に加え、耐熱性、難燃性、耐薬品性などに優れ、ポンプ部品、モーター部品などで採用実績がある。しかし、引張強度が小さい課題があり、金属代替材料として使用するには制約があった。

東レは、引張強度を高めるため、ナノ構造制御により成形品中で長繊維炭素繊維を均一に分散させるとともに、炭素繊維とPPS樹脂の界面接着性を高めることで、課題を解決することに成功した。

今後、市場投入に向けて量産化技術の確立を加速して、早期に実用化していく計画。

《レスポンス編集部》

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