【試乗】アウトランダーPHEVは、プラグインハイブリッドの最高傑作なのか?

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アウトランダーPHEV
アウトランダーPHEV 全 12 枚 拡大写真

アウトランダーPHEVはそのカタログで「三菱自動車が生みだした、最高傑作。」と言ってしまっている。その背景にパジェロのSUV、ランエボの4WD、i-MiEVのEV、これらの独自技術の集大成の意味が込められているのだ。プラグインハイブリッドこそが次世代エコカーだと思い込みプリウスPHVが発売されると同時に購入した筆者が、1週間弱という短い期間だがアウトランダーPHEVを試乗してみた。

【画像全12枚】

モーター駆動の特性を遺憾なく発揮

このクルマは駆動を前後輪のモーターに任せエンジンは主に発電を担当するシリーズ型ハイブリッドである。12kWhという大きな電池を積みプラグインで充電もできる。発進は音もなく静か。パワートレーンからの振動はもちろん皆無。ぐっと踏み込むとトルクが湧き上がる。世界の高級車たちは、この静粛性とスムーズネスとパワーのために6リットルV12気筒のようなエンジンを必要としたのだ。(試乗車は専用色のブルーメタリックだったが、個人的には高級車を演出できるブラック外装がこのクルマには似合うと思う)

サイレント&ウルトラスムーズ。これはアウトランダーがエライというよりもモーター駆動がエライのである。自分はクルマの動力は早晩すべてモーターになると考えている。モーターに与える電力がエンジンならばハイブリッド、バッテリーならばEV、燃料電池ならばFCVというようにクルマの進化において電動化は避けられないと、ハンドルを握りながらあらためて確信するのである。

アウトランダーPHEVに話を戻そう。大きなSUVはともすると駅への送り迎えや近所への買い物など、短距離のドライブが億劫になりがちだがこのクルマはそうはならない印象だ。まず、EV走行はたとえアクアやフィットと比べても燃料代が安価で騒音もない。鋭角に左折する交差点だろうと、ブレーキングしつつタイトに回る右コーナーであろうと2個のモーターとS-AWCの組み合わせはコンパクトカーのように車体を旋回させた。スクエアなボディで1800mmの見切りも良い。つまり取り回しが良いのだ。

パドル式回生レベルセレクターをいかに使いこなすか

ちなみに筆者のEVモードでの航続距離は実測で約45kmだった。この数字はプリウスPHVの20km弱に対して約2.3倍。電池の容量はアウトランダーPHEVの12kWhに対してプリウスPHVの4.4kWhの約2.7倍だから(前面投影面積や重量ハンデはあるにせよ)もっと伸ばしたい。今回は短い試乗期間だったが、どうやらコツは「パドル式回生レベルセレクター」にあるようだ。回生ブレーキの設定はデフォルトではB。パドル式回生レベルセレクターを右に1回シフトするとB1に左に1回ではB3にシフトする。最大B5で減速力は最大になり、デフォルトから右に2回シフトのB0は文字通り回生ブレーキゼロ、減速力は最低限となりアクセルを離すと惰性でクルマはコロコロと転がる。

EVモードの距離を伸ばし、ハイブリッドモードの燃費を良くするコツはB0モードにあると見た。「回生させたほうが燃費は良くなるはず」と思われる方もいると思うが、燃費向上はいかにアクセルを踏まないか、である。前に赤信号が見えたらすぐにアクセルを離してB0モードで慣性走行の距離を伸ばすことがEV実測走行を伸ばす近道になる。

三菱は1994年、FTOの4ATに国内初のマニュアルモードを装備している。ブレーキエネルギー回生はすでに軽自動車でも始まっているように、いずれはすべての車両に採用される技術だ。アウトランダーPHEVで始まったB0への切り替えシフト機能が近未来のクルマにとってあたりまえの機能になるかもしれない。

日常利用はEVモードで賄える

さて、本稿のタイトルである「アウトランダーPHEVは、プラグインハイブリッドの最高傑作なのか?」について考察したい。11月1日現在、日本で販売されているプラグインハイブリッドはまだプリウスPHVとアウトランダーPHEV、そして法人リースのみだがアコードPHVの3車種のみである。プリウスPHVは約20kmが過ぎEVモードが終了した時、電池残量があってもアクセルを踏み込んだ時、そして暖房が動作した時にエンジンがかかる。オーナーだからこそ言える本音だと思うが、このエンジンがかかった瞬間がガッカリなのである。

アウトランダーPHEVはまずEVモードの走行距離がプリウス/アコードに比べて倍以上ある。このEV距離があれば日常利用はほぼEVである。長距離ドライブではハイブリッドカーとしてのプリウスの燃費の良さが光るが、アウトランダーPHEVに急速充電オプションを付けることで高速道路のサービスエリアなどでチャージが可能になりガソリン消費量として優位に立つこともできる。

さらに特筆したいのは、EVモード終了後のハイブリッドモード時のノイズ・ヴァイブレーション・ハーシュネス(NVH)コントロールの優秀さである。いつの間にかエンジンがかかり、それは走行音にかき消されている。走行音が無くなる信号停止の前にエンジンはこっそりとアイドリングストップを行いその存在を明らかにしない。もちろんシリーズ型ハイブリッドのモーター駆動ゆえアクセルレスポンスのスムーズさはEVモードと全く変わらない。

プリウスPHVは、ビューティフルなプリウスEVと名車プリウスHVの継ぎ目が見えるクルマだ。 対してアウトランダーPHEVは航続距離900kmのEVである。 プラグインハイブリッド、ビークル(V)ではなくエレクトリックビークル(EV)であるとする三菱技術者の矜持だろう。成功の要因は過去の名車の技術や要素をただ放り込んだ、ごった煮的なクルマにしなかったことだと思う。すべての技術を必要としながらも完全に消化してひとつの理想にたどりついた。

アウトランダーPHEVの存在が意味するもの

もうひとつ、このクルマのオーナーになる人々が消化しなければならない現実がある。発売開始から2ヶ月ほど経った3月末、バッテリーの不具合が火災などにつながり、原因究明やリコールのために約5ヶ月の生産停止を余儀なくされた。ところが生産停止中もバックオーダーは増え続けたという。三菱アウトランダーPHEVは歴代名車のエッセンスだけでなく苦い過去の反省や顧客に対する感謝もすべて背負って生み出された三菱のカルマそのものである。すべての人々の想いがつまった三菱アウトランダーPHEVと新しいカーライフを送る人々に、幸多かれと願いたい。

アウトランダーPHEVのプラグインハイブリッド暫定チャンピオンは多くの賛同を得られるのではないか。

《三浦和也》

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