【JALの心臓部 OCCに潜入】突発的なトラブルの際にも素早い決断で混乱を避ける

航空 企業動向
松山空港を離陸する日本航空のボーイング737-800。(2012年4月撮影)
松山空港を離陸する日本航空のボーイング737-800。(2012年4月撮影) 全 6 枚 拡大写真

時には「飛行機を飛ばさない」という決断も必要となる、日本航空(JAL)オペレーションセンター(OCC)のミッションディレクター。責任は非常に重いが、台風のような事前にわかる天候悪化などは対処しやすく、本当に怖いのは突発的に発生するトラブルだという。

取材時の直近で発生した比較的大きなトラブルとしては、2013年10月26日夕方に愛媛県の松山空港で発生した小型機の着陸失敗がある。着陸中に前脚が折れ、プロペラも破損して滑走路上で擱座・立ち往生。同空港を発着する17便が欠航。4便が行き先を変更する事態となった。

ミッションディレクターで、OCCのセンター長も兼ねる桑野洋一郎さんは「事故発生が18時25分ごろで、その時点で松山方面に向かうJALの航空機は東京・羽田発と、大阪・伊丹発の2便がありました」とする。

事故発生の第一報を受けてOCCは全力で情報収集を開始。松山空港のスタッフからは「事故による死傷者は無いが、CAB(国土交通省・航空局)は“事故調査委員会の調査官が入るまで機体を滑走路から動かせない”と言っている」との第二報が寄せられた。

当日のミッションディレクターは、離陸から1時間以上が経過していた羽田発の便については「行き先を高松に変更する」、離陸して間もない伊丹発の便については「伊丹に引き返す」という措置を取った。OCC側で決断して、飛んでいる航空機に連絡を取るまでの所要時間も非常に短く、高松空港への到着地変更も円滑に行われた。

また、翌日に飛ぶ松山~羽田の初便は、前日の松山行き最終便の機体を充てることになるが、滑走路が閉鎖されたことで運休となったため、翌日の早朝に羽田から松山へのフェリーフライト(回送便)を実施。ダイヤへの影響を最小限に抑えた。顧客サポート部署は情報を逐一発信し、情報提供することで混乱を抑えた。

こうした対処が迅速にできるのも、OCCのスタッフ全員でトラブルへの対処を行うからであり、迅速に決断を行うミッションディレクターがいるからだ。

《石田真一》

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