近年、日本のコンパクトカーは内外観のデザイン品質だけではなく走りの質感においても欧州車に遅れをとっていた。
だが、『フィット』はデザインに課題を残す(ディテールをいじりすぎ)ものの走りにおける満足度で日本車がようやく長いトンネルから抜け出したという実感をもたらしてくれた。エンジンは、高効率化を優先していながら滑らかな吹き上がりを示し、1.5リットル仕様は日常的な場面での力強さを確かめることもできる。サスペンションの動きに余計なフリクション感がないので、乗り心地の快適さではコンパクトカーの常識を超えたといっていい。
しかも、フィットハイブリッドは実用燃費を確かめたところ優れた結果が残している。それでいて、エンジンが脇役になっていないので、Sパッケージを選べばスポーティな走りを楽しむことが可能だ。
こうしたフィットの実力を評価し、最高点の10点を投じた。
萩原秀輝 │ 日本自動車ジャーナリスト協会理事
在学中よりレポーターとして活動。同時期からツーリングカー・レースに参戦。連続入賞や優勝の経験。そうした経験を生かし「クルマの走り」と「ドライビン グの理論」について深い洞察力を持つ。主な執筆先は「LE VOLANT」や「driver」など。Webでは「Carview」や「レスポンス」など。また、クルマに対する知識とドライビング理論に基づき、自動車メーカーなどが主催する安全運転教育の講師を務めた経験が数多くある。とくに、日本に初めて実践型安全運転教育を導入した輸入車系のスクールでは、開校時の1989年から現在に至るまでの受講者が累計で10000人を越え、その指導にかかわってきた。