【新年インタビュー】豊田自工会会長、持続的成長への確実な1歩を

自動車 ビジネス
日本自動車工業会 豊田章男会長
日本自動車工業会 豊田章男会長 全 12 枚 拡大写真
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、2014年に向けたメディア各社との共同インタビューで、新年を持続的成長に向け、確実な1歩を重ねる年にしたいと表明した。

また、2020年の開催が決まった東京オリンピックおよびパラリンピックは日本の素晴らしさを発信する好機とし、同年まで自動車産業としては競争力を高め、自信にあふれたモノづくりをしっかり推進していきたい、と強調した。

◆製造業としてのぶれない軸を

----:2013年は日本経済や自動車産業が回復へのスタートラインに立ったとの認識を示していましたが、新年はそのスタートの後にどのような年にしたいですか。

豊田会長:2014年はスタートラインから確実に1歩1歩進めて行く年にしたいと考えている。木の年輪でいうと、あるところで急に伸びると間隔が開いて幹は弱くなってしまう。年輪の間隔が同じ幅で、持続的に成長することが強い木につながる。そうした成長のために大事なのは、製造業としてのブレない軸をもつことだろう。お陰さまで2013年は毎日毎日、健康な状態で生産と販売活動が続けられた。会員各社にも(業績面などでの)結果がついてきている。しかし決して奢らない、調子に乗らない、また多少落ち込んでも卑屈にならないというような軸をもって、確実に歩んで行く年にしたい。

---:昨年の東京モーターショーをどう評価していますか。また、今年は休催年ですが日本の技術力などをどう発信していきますか。

豊田:昨年は前回を上回る約90万人の方々に来場いただいた。また、76台のワールドプレミア(世界初公開)の展示が行われるなど、世界で久々に再注目された東京モーターショーにすることができたと評価している。日本のマーケットは縮小傾向にあるが、外国の企業にも、ここ東京でワールドプレミアを出すという価値を認めていただいたのだと思う。

イノベーションだけでなく、高い技能、匠の技というものも発信できた。その象徴が自工会会員14社の高いスキルをもった技能者が協力して製作した「希望の一本松」だった。2014年は休催年にはなるが、CEATEC JAPANやITS世界会議(14年は米国デトロイトで開催)といった色々なイベントもあり、東京モーターショーからのトレンドを持続するよう、(会員各社)みんなでアクセルを踏んで情報を発信して行きたい。

◆「競争力」と「生産性向上」にこだわりたい

----:2020年の東京オリンピックおよびパラリンピックについては、そこに向けて頑張るというひとつの「納期」をもらったと指摘されていますが、納期までに自動車産業はどう進んで行きますか。

豊田:私たちは世界に向け、日本の素晴らしさを発信する絶好の機会をもらったと思っている。数年先の短いタームで見るのでなく、少し長いトレンドで見て、さまざまな課題に取り組んで行くという意味でも2020年という納期は好ましい。日本経済は回復へのスタートラインに立ったと申してきたが、いわば下限のところからのスタートだ。そうしたなかで自動車産業の役割あるいは期待値は大変高いと受け止めている。是非とも(日本経済が)持続的成長になる道筋を、納期に向けてわれわれがしっかりとつくりたい。さらに6年後がゴールではなく、通過点となってその後も成長を持続できるよう、自動車産業が世界の中でしっかりとした競争力をつけ、自信あるモノづくりを推進していきたい。

----:自動車産業全体で見れば、まだ業況の回復が波及していないところもあります。どう取り組むべきでしょう。

豊田:われわれ完成車メーカーは75%ほどが外注品であり、2次(取引先)以降への波及には確かに時間を要すという面はある。各社ともグローバルに闘っていくうえで日本というベースキャンプで、いかに競争力をつけていくかが重要となっており、(国内産業全体での)「競争力アップ」がキーワードになる。安易にアワーレート(時間給)が低い所に行くのでなく、日本のレートが2倍なら生産性を2倍に高めるとか、いわば「成長の原単位」をシフトさせる必要もある。最近、「生産性向上」という言葉が聞かれないようになってしまったが、サプライヤーさんともみんなで力を合わせてこだわっていきたい。

◆税制は「環境」と「需要」がウィンウィンで回るように

----:自動車税制は、2014年も引き続き「自動車税」を中心に車体課税の見直しが進められます。ユーザーの負担軽減に自動車業界としてどう取り組みますか。

豊田:環境性能に応じた税制の見直しについては、「環境」と「需要」という要素が、ある意味ウィンウィンの関係となれるスタートラインに立ったのではないかと思っている。より環境に良く、より安全性能のよいクルマへシフトして行きながら、需要が回るよう検討する必要があるのではないか。自動車業界としては環境と7500万台の保有車両が回転するよう、適切な提案を行っていきたい。

----:経営環境で、この1年に大きく変化したのは、超円高の修正でした。国内生産を維持するといった観点からも、1ドル104円前後という現状の為替水準をどう見ていますか。

豊田:為替はまずは安定してもらうことだ。長期的に見ていただくとプラザ合意(1985年)からずっと円高の傾向が続いたが、近年ではあるレンジで乱高下し、さらにこの4年はいわゆる超円高という状況だった。現在はそこから少し抜けたというところ。自動車産業というのは色々なところに根を張る産業であり、円高だから直ちに生産地を変えるとか、そういう産業ではない。だから安定した動き、さらに投機的なものでなく国力を反映したファンダメンタルズにより近いところで推移してほしいと願っている。

《池原照雄》

この記事の写真

/

ピックアップ

Response.TV