経済産業省は、ロシアの廃車税制度について内外差別を是正する改正が行われたと発表した。日本がWTO紛争処理手続に基づく協議を通じて是正を求めてきたものであり、今回の法改正により内外差別が基本的に是正される。
ロシア連邦は、2012年9月から、廃棄自動車の適切処理を名目に、自動車の輸入者とロシア国内生産者に対し、廃車税の支払いを義務付ける廃車税制度を導入した。この制度では、自動車の国内生産者・海外からの輸入者の双方に支払い義務が課されていたが、一部のロシア国内生産者や、関税同盟国(カザフスタン、ベラルーシ)からの輸入車については税の免除措置を適用し、実質的に国産車を優遇する制度となっていた。
この制度は、WTO協定上の内国民待遇義務などに違反する可能性があるため、日本はEU、米国と協調しながら、ロシア連邦政府に改善を要請し、この結果、2013年4月、ロシア連邦政府は同制度を改正する法案を公表した。
しかし、その後ロシア連邦政府は同法案の国会審議を延期し、当初の施行予定の2013年7月を過ぎても法案審議のめどが立たない状況が続いた。問題の早期解決を図るため、日本政府は、EUと協調し同年7月にWTO協定に基づく二国間協議を要請した。
ロシアが2012年8月にWTOへ加盟してから、日本がロシアに対してWTO紛争解決手続に基づく協議要請を行った初めてのケースとなった。
日本は2013年8月13日、ジュネーブで、協議し、同制度のWTO協定との整合性を議論するとともに、その後もロシア連邦政府に対し、制度の是正を求めて働きかけを行ってきた。
これらの働きかけの結果もあり、ロシア連邦政府は改正法の審議を進め、2013年10月21日の大統領署名、運用細則の決定を経て、2014年1月1日に改正法が施行された。
法改正により、一定の条件を満たすロシア国内生産者に対する免税制度、関税同盟国からの輸入車に対する免税制度、免税要件であるローカルコンテント要求が廃止され、内外差別的要素が基本的に是正された。
経産省では、日系企業が内外差別的な扱いを受けることのないよう、引き続き、改正法と関連する実施規則の施行・運用状況を注視するとしている。