【フォード フィエスタ 試乗】コンパクトカー大国への宣戦布告…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
フォード フィエスタ
フォード フィエスタ 全 12 枚 拡大写真

1Lのコンパクトカー。こう聞いて、誰がこの走りを予想できるだろう? 

【画像全12枚】

そりゃもちろん、プジョー『208 GTi』のように、ピンポイントでユーザーを特定するクルマならありだ。しかし、『フィエスタ』なのである。ヤバい。ヤバすぎる。コンパクトカーに対する私の常識が音をたててくずれていく。

運転する前から軽い予兆はあったのだ。精悍になったフロントマスク。ぽってりと厚みを感じさせる塗料の感じ。グリップを握って開閉させるドアはずしりとして手ごたえで重厚感がある。このあたりで、安く仕上げたコンパクトカーではないことが伝わってくる。運転席のシートはスポーティ感があり座り心地がよく、後部座席はSUVの『クーガ』より立体感があってちゃんと座れるという(イワサダ調べ)オマケ付。インパネといい、操作するパーツといい、やる気のオーラがハンパなく漂っているのだ。

そしてスタートさせると、一瞬で加速していく軽やかさ。なんだこれは。このスタートダッシュの気持ちよさを増加させるのはサスペンションだ。カチっとした仕上がりは、無駄のないクラウチングスタートのようで、エンジンが発したパワーを瞬時に重力から解き放つ。この感覚は、フォードのフォーカス、さらにはクーガと同じタイプのキレのよさだが、クルマが軽く小さいだけ、キレキレも尋常じゃない。

コンパクトカーで、これはアリなのか。コンパクトカー万歳ニッポンへの宣戦布告ではないか。国産メーカーどうする?もちろん、ネガもある。時速40~50kmあたりで、ふら~っと流していると、こもり音が気にならないこともない。さらには、日本人のお約束、ナビシステムがダッシュボードにうまくはまらないのが、気に入らない人もいるだろう。しかし、それがどうした。こもり音が出たら、加速しちゃえ(制限速度があればシフトダウンだ)。カーナビはダッシュボードの上に乗っけるか、スマホやタブレットを使いこなせ。価格はちょい高め設定だが、この安全装備と走りなら納得である。いや、とにかくこの爽快を上まわる走りの気持ちよさは、生きているうちに体験しておくべきである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. カローラクロスと立場が逆転、だからこそ生まれた「斬新セダン」のデザイン…ジャパンモビリティショー2025
  2. ヤマハ『R7』が全面進化! 電子制御、シャシー刷新で示す「ミドルスーパースポーツの新たな可能性」
  3. ライバルはアルファード? メルセデスベンツの最高級ミニバンが日本初公開!…ジャパンモビリティショー2025
  4. V3エンジンを電子加給! ホンダ『V3R 900 E-コンプレッサー』をEICMAで初公開、量産に向け開発中
  5. レクサスの新型「6輪ミニバン」の全貌が明らかに!「LS」はラグジュアリーセダンから「ラグジュアリースペース」へ…ジャパンモビリティショー2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る