「ハイヒールとスニーカーが一つになった靴。走れるハイヒールをイメージして『ヴェゼル』のデザインをしました」
こう話すのは同車のデザイン担当である本田技術研究所四輪R&Dセンターデザイン室研究員の山本洋幸氏だ。同氏はこれまで主に高級車『アキュラ』のデザインを行ってきた。『ヴェゼル』では高級感と機能性を併せ持つ車を目指した。それにぴったりだったのが“走れるハイヒール”だった。
しかし、開発スタッフにそのことを理解してもらうのは難しいかもしれない。そこで、実際に“走れるハイヒール”を購入。スタッフの女性に履かせ、路線バスと競争させた。それによって、スタッフ全員が山本氏のイメージを理解した。
「ハイヒールの美しいシルエットを持ちながら、ハイテクの素材を使い、重心が安定していて、ちゃんと走ることができる。ヴェゼルの世界観とまったく同じだった」と山本氏は話し、思い通りのものが100%できたと思い残すことはないそうだ。