彗星探査機ロゼッタ 2年7カ月ぶりの冬眠開け通信に成功

宇宙 科学
ロゼッタ探査機と着陸機フィラエ
ロゼッタ探査機と着陸機フィラエ 全 2 枚 拡大写真

日本時間2014年1月21日午前3時すぎ、欧州の彗星探査機『Rosetta(ロゼッタ)』は2年7カ月ぶりに冬眠モードから復帰、探査機の機能を回復し地球と通信に成功した。

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2004年に打ち上げられたESA 欧州宇宙機関の彗星探査機ロゼッタは、チュリモフ・ゲラシメンコ彗星の探査と史上初となる彗星への着陸機投下を目指して飛行を続けている。電力節減のため、ロゼッタは2011年6月8日から冬眠モードに入った。探査機の温度が下がりすぎないようにするためのヒーターなど一部の機能を残して、通信機能を含むほとんどの機器を停止していた。

2014年1月20日午前10時(日本時間20日19時)、ロゼッタはタイマーで冬眠モードから回復し、地球と通信を再開を予定していた。ESAでは、主ミッションの彗星探査前の重要なマイルストーンとなる瞬間を応援するイベントを実施。ロゼッタに起きるよう呼び掛ける応援ビデオメッセージの投稿コンテストなどを開催した。

1月20日、ロゼッタ冬眠開けの予定時刻が到来。探査機は自動的に登載コンピューターや姿勢制御装置の機能を回復させる。姿勢を調整し、地球に通信アンテナを向けるには6時間以上かかる。さらに地球から8億700万キロメートルのところにいるロゼッタから地球に通信が届くのにおよそ45分かかるため、探査機の冬眠開け「第一声」は日本時間で1月21日午前2時30分以降だ。

ロゼッタとの通信は、直径70メートルの巨大パラボラアンテナを持つNASAの深宇宙通信局DSN(ディープ・スペース・ネットワーク)が協力し、米カリフォルニア州のゴールドストーン局と続いてオーストラリアのキャンベラ局が参加した。ドイツ・ダルムシュタットにあるESAの宇宙運用センターESOCでは、DSNから届く電波の波形モニターを見守っていた。通信可能な時刻となってもモニターにはノイズを示す波形が続くばかりで、探査機からの信号はなかなか表れなかった。通信可能な時間を48分過ぎた3時18分、ついにロゼッタからの信号が届いた。息をひそめて見守っていたESOCの人々から歓声と拍手が湧き、31か月ぶりとなる探査機の無事を喜び合った。

ロゼッタはこの後、ESAの通信施設と交信して健康状態などを確認。応援ビデオメッセージコンテストの上位入賞者10人の作品も探査機へ届けられる。そして彗星まであと918万8540キロメートルの旅を続け、今年8月に67P チュリモフ・ゲラシメンコ彗星へ到着する。11月には着陸機フィラエを投下し、彗星の表面に銛状の装置を打ち込んで温度を調べるなどの探査を行う予定だ。

《秋山 文野》

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