【マツダ アクセラ スポーツ 試乗】それぞれに魅力的、“これぞアクセラ”は…松下宏

試乗記 国産車
マツダ・アクセラスポーツ
マツダ・アクセラスポーツ 全 27 枚 拡大写真

マツダ『アクセラスポーツ』には3機種のエンジンが搭載されている。ハイブリッドだけは選択できないが、パワーユニットのバリエーションはスポーツが最も豊富である。

1.5リットルエンジン、セダンで触れたので簡単にしておくが、普通に乗るならこれで十分という感じ。これが売れ筋のエンジンになるのは確実だが、ヘッドアップ・ディスプレーが装備されないなど、総合的な商品力に物足りなさを感じる部分がある。

ラインナップの中では比較的低価格が設定された買いやすいのが1.5リットル車だが、最新のマツダ車の魅力が手に入らないのは残念。

2.0リットルのガソリン車は114kW/196Nmのパワー&トルクを発生し、クルマとしてのバランスはけっこう良い。ボディに対して見合ったというか、余裕のある動力性能を持つので、元気良く走らせるなど、軽快感ある走りが楽しめる。

ただ、2.0リットル車はラインナップの中での位置付けが何とも中途半端で、2.0リットル車の中で最も高い「2.0SツーリングLパッケージ」に乗っていて、だれが選ぶグレードなのか、ユーザー像が見えてこなかった。

装備の充実度が高いこともあって、価格は240万円台の設定だ。この予算があるならセダンのハイブリッド車を選ぶことができるので、積極的に2.0リットルのガソリン車を選ぶ意味があるのかどうか。

2.2リットルのディーゼルエンジンを搭載したモデルは、豪快な走りが楽しめる。比較的コンパクトなボディのアクセラにとって過剰ともいえる129kW/420N・mの圧倒的な動力性能を発生するので、走りの次元がほかのモデルと全く違う。

わずか2000回転で力強い最大トルクを発生するから、タウンユースなどではアクセルペダルに軽く足を乗せているだけでいい。

走行状況に応じてそこからアクセルを踏み込めば、極めて力強い加速が得られる。クルマを自在に操っている実感が得られる。走りの面からみたら、アクセラのディーゼル車も確実にありだと思う。

とはいえ、ディーゼルエンジンを搭載したXDは、アクセラのラインナップの中で最上級グレードとして設定されている。充実した装備を備えるために価格も最も高くて300万円に近い。ディーゼル車はこの1グレードだけの設定だ。

マツダのディーゼルエンジンの良さは既に定評を得ているので、アクセラでもディーゼル車を選ぶユーザーがいると思う。でも、アクセラの車格に対して300万円という価格はかなり高めの印象だ。この価格帯のアクセラが長く安定して売れるかどうか。

このように考えると、アクセラではどのエンジンを選んだら良いのかが難しい。3機種のうちエンジンを搭載したモデルが“これぞアクセラ”なのかが見えてこないのだ。いずれも魅力を持つだけに、どれを選んだら良いのか、なかなか悩ましい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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