駆動輪以外は雪対策しない東京のタクシー事情

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東京都心を走るタクシーは、雪に弱い。そんな話が同業者から出ている。

「雪の日の東京は怖くて走れません」と話すのは、都内で個人タクシーを営業するAさんだ。雪に不慣れだからではない。「東京は雪が少ない。駆動輪しかスタッドレスタイヤに換えないタクシーが多いからですよ」と、話す。

チェーン装着やスタッドレスタイヤへの換装をまったくしないで、雪道を走ることはできないが、駆動輪に雪対策をすれば前に進むことはできる。後輪駆動から前輪駆動が一般的となってからはコントロールも容易になり、こうした車両も増えた。すべての車輪に雪対策をしたほうがいい理由もある。

「前輪と後輪で路面をつかむ力が違うから、斜面やカーブで不安定になりやすいし、雪が深くなると動けなくなりやすい。コジンタクシーの場合は、自分の財産ですし、車両をたくさん抱えているわけじゃないから、すべての車輪をスタッドレスタイヤに換えることが多いですけど」(同上)

本当に全部のタイヤに雪対策をしないのか。車内のラジオニュースが大雪の予想を伝え始めた7日夕方、気象庁での大雪会見後に都心を走る法人タクシーの運転手に聞いてみた。その車両はノーマルタイヤのままだった。

「法人タクシーは、だいたい2輪しか換えません。それが普通じゃないですか。年に何日も降らないのに全部換えてたら起き場所にも困りますから」

約370社が加盟する東京ハイヤー・タクシー協会に実情を聞いた。

「降った後の路面凍結も怖いところなので、できれば安全面から乗務員教育も含めて整備をするように話をしているが、各社の対応になるので、詳細は把握していない」(同協会広報担当)

法律では安全走行のための降雪時対策は定めているが、タイヤ全部に雪対策が必要であるとは言及していない。

不安を覚える運転手もいる。別の法人タクシーの運転手は、こう話す。

「路肩に雪を寄せたり、車両が通行しないこともあって、道路の中央よりも歩道と車道の境のほうが滑りやすい。そのせいで、お客さんを見つけて止まろうとしても感覚が狂うんですね。クルマだけでなくお客さんも同じなんですよ。段差があるところで歩道から車道に、いつもの調子で出ようとして転んじゃう」

そういえば、昨年1月の大雪で首都高速に取り残された車両の中には、営業車が多く混じっていた。雪に弱い東京。その原因はこんなところにもあった。

《中島みなみ》

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