【GARMIN Oregon 650TCJ インプレ後編】カメラ画質向上、アウトドアレジャー全般で活躍する万能機

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GPSの受信状態を表示。日本の準天頂衛星「みちびき」だけでなく、ロシア版GPSである「GLONASS」も受信できるため一度にこんなに多くの衛星を補足できる。
GPSの受信状態を表示。日本の準天頂衛星「みちびき」だけでなく、ロシア版GPSである「GLONASS」も受信できるため一度にこんなに多くの衛星を補足できる。 全 16 枚 拡大写真

オールインワンの多機能ハンディGPS、GARMINの「Oregon(オレゴン)」シリーズにニューモデル「650TCJ」が登場した。前回は基本的なスペックと新機能についておもに触れたが、インプレ後編では、実際に利用してみてのインプレッションを報告したい。

◆気ままにトレッキングするだけでGPSの精度を実感

まず、いつもながら感心するのが、GPSの精度の高さだ。上空が開けた場所で誤差が少ないのは当たり前だが、本機は鞄の奥に仕舞い込んだまま自動車の後部座席に放り込んでおいても、空が殆ど見えないビルの谷間でも、ほとんど精度が落ちなかった。電源を入れてから測位が完了するまでの立ち上がりの早さも抜群で、「衛星補足待ち」で時間をロスすることがないのもありがたい。

「スマホなら地下でも現在位置を正確に測定できるよ」という人がいるかもしれないが、スマートフォンはGPSにプラスして3G/4Gの電波やWi-Fiの電波の情報を加味して現在位置を割り出している。そのため地下でも測位ができる反面、電波による位置情報が利用できない山中や海上では測位精度が大きく落ちる。本機のようなハンディGPSは正反対で、建造物やノイズの多い街中のほうがどちらかというと苦手。だがその町中でも常に数メートルの誤差で即位してくれるのは頼もしいかぎりだ。

使い始めてすぐに便利だなと思ったのが、本体横に新しく搭載された「ユーザーボタン」だ。オレゴンシリーズは電源ボタン以外をすべてタッチディスプレイで操作するのがポリシーだっただけに、ボタン1個といえども新たに搭載されたのはひとつの事件。しかし、ポリシーを曲げて搭載した価値は大いにあった。

このボタンは右手で本機を持った時に親指で自然に押せる位置にあり、タップ(物理ボタンだが本機の説明書にはタップと記載されている)、ダブルタップ、長押しに対してそれぞれ機能を割り当てることができる。さらに、電源ボタンも長押しで「電源オン/オフ」となる以外にタップ、ダブルタップに好きな機能を割り当てられる。つまり、ふたつのボタンに合計5つの機能を割り当てられるのだ。ユーザーボタンの初期設定は「ポイント登録」、「ナビの目的地検索メニュー」、「カメラ」が割り当てられているが、いずれも利用価値が高かった。ほかに、「軌跡取得開始/停止」や「スクリーンオフ/オフ」なども割り当てることができる。

そのユーザーボタンで起動できるカメラは従来のモデルから大きく進歩した部分だ。画素数は3.2Mピクセルから8Mピクセルにグレードアップし、コンデジ並みとはいかなくとも、スマートフォン並にはなった。また、従来のモデルでは条件が良ければそこそこの写真が取れるものの、逆光や低照度には対応できなかったが、本機ではそれなりにちゃんと撮れるようになっている。撮影条件によって色味が大幅に変わってしまう悪癖もなくなり、かなり進歩していることを実感できた。また、LEDライトのフラッシュが装備されたことで、暗い室内でも撮影が可能になった。

このカメラの詳しいスペックは公表されていないが、撮影した画像のEXIF情報を見ると、レンズの焦点距離は4.1ミリ(35ミリ換算31ミリ)、F値は2.7となかなか優秀であることがわかった。実際に撮影した写真を見ても、思い出を残すカメラとして使っても全く問題はなさそうだ。もちろん、撮影した写真には位置情報がジオタグとして埋め込まれる。その意味では場所データを記録するためのカメラなのだが、もはやそれを超えた性能を持っているといっていいだろう。

なお、LEDライトは単独でライトとして使うことも可能。ユーザーボタンでオン/オフをコントロールすることもできるので非常に便利だ。さらに、SOS信号や任意の間隔で点滅させる機能もある。

スマートフォンとBluetoothで接続してルート、軌跡、ポイントを確認

本機のようなハンディGPSとスマートフォンはどちらかというと競合する関係なのだが、本機ではそのスマートフォンを味方につける試みがなされている。アプリ「Basecamp mobile」をインストールしたiPhoneとBluetoothで接続し、本機に記録されているルート、移動軌跡、登録したポイントをiPhoneに転送して表示できるのだ。それ以上に高度な連携機能がないのはやや残念だが、「Basecamp mobile」は地図表示を航空写真に切り替えて、そこに移動軌跡を表示することもできるので、なかなか面白い。

もちろん、本機はUSBでパソコンと接続することもでき、パソコンでGARMINのクラウドサービス「GARMIN コネクト」に接続し、本機の様々なデータをアップロードすることもできる。そしてそれをiPhoneの「Basecamp mobile」アプリで閲覧することも可能だ。

また、従来からある機能として、GARMINの別のハンディGPSとワイヤレス接続してルートなどのデータを交換することができる。グループでトレッキングなどをするとき、一人が事前にルートを作成しておけば、現地でそれを他のメンバーに送信することができるのだ。

さらに、本機はANT+に対応している。ANT+はGARMINが提唱している、フィットネス向けの各種センサーのワイヤレス接続規格。今は業界標準になっているといっても過言ではなく、様々なメーカーからANT+対応機器が発売されている。例えばハートレートセンサーとフットポッドを組み合わせれば、本機を高性能なランニングウォッチとして使うことができる。もちろん腕にはめることはできないが、そうした本体サイズの違い以外は、高価なランニングウォッチと同じ機能を持っているのだ。

また、ケイデンスセンサーやスピードセンサーと組み合わせれば、サイコン(サイクルコンピューター)に早変わりする。オプションで自転車のハンドルに固定するためのブラケットも発売されており、サイコンとしてなら本体の大きさもそれほど問題にならない。本物のサイコンの、それもかなり高級モデルと同等の機能を持っているといっていいだろう。

《山田正昭》

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