【ホンダ ヴェゼル 試乗】ガソリン車はデザインと使い勝手の両立は見事だが…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ ヴェゼル ガソリン車
ホンダ ヴェゼル ガソリン車 全 9 枚 拡大写真

今、世界的に大ブレークしているのがコンパクトなクロスオーバーSUV。

クロカン4WDとは違うスタイリッシュなデザイン性、アウトドアへの適合性はもちろん、高めのヒップポイントがもたらす爽快(そうかい)な視界、扱いやすさなどミニバンと通じるところがある点も人気の秘密。

そんなジャンルに新たに加わったのが注目のホンダ『ヴェゼル』である。

その成り立ちはクーペの艶、ミニバンの合理性、SUVの価値を融合したもので、フィットをベースにセンタータンクレイアウトを継承しつつ、ホイールベースを80mm延長。しかし全長は4295mmと、例えば兄貴分のCR-Vより240mmも短い。もっとも世界戦略車でもあるため車幅は3ナンバーサイズの1770mmになるが、それでも日本の路上にジャストなサイズと言える。

ラインアップはここで紹介する1.5リットルのガソリン車(131ps、19.0~20.6km/リットル。GのFF/4WD、X、SのFFは75%減税))と、1.5リットルのHVモデル(システム出力152ps。21.6~27.0km/リットル。全車免税)がそろう。

ヴェゼルの魅力のひとつがデザイン性。上半身のクーペルックなスタイリッシュさと下半身のSUVならではの力強さを融合したエクステリアデザインは多くの人が素直に「かっこいい」と思えるはずだ。

ただし、インテリアはガソリン車の場合、黒灰色のみで、派手で質感の高いジャズブラウン内装、専用カラー液晶メーター&シフターを持つHVモデルと比べるとかなりフツー(というか地味)なデザインという印象だ。メーターレイアウトの都合でドイツ車的なメーター内の簡易ナビ表示も省略される。

ヴェゼルはデザイナーズカーのようでありながら、実用性に手を抜いていないところがポイント。フィット同様にダイブダウン&チップアップ機構を持つ後席は身長172cmのドライバー基準で頭上に13cmはともかく、ひざ回り空間は24cmと、例えばスバルXV HVの15.5cmを大きく上回る広さ。アレンジ性を重視したシートの掛け心地も優秀だ。

荷室は開口部が大きく広く、開口部地上高は65cmとSUVとして例外的に低く、重く大きい荷物の出し入れは比較的楽々。後席を格納したときにフロアが限りなく低くフラットになるのはセンタータンクレイアウトの恩恵だ。後席格納時なら前輪を外したマウンテンバイク2台をのみ込むほどなのである。

全車にザックス社製ダンパーをおごる、エコスペシャルな16インチタイヤを履くヴェゼルのガソリン車の走りはたしかに軽快感こそあるものの、17インチのノーマルタイヤを履くHVモデルと比較すると(デザインを含め)かなりフツーだ。

パワーは必要にして十分。乗り心地はむしろ”硬すぎる”スポーツ仕様的キャラとも言えるHVモデルよりマイルドで快適。しかし全体的な走りのテイストはすっきり感に乏しい、ややザワザワしたものとなる。これはエコスペシャルタイヤの発するロードノイズや排気音がボディー後方からキャビンに侵入しやすいからで、HVモデルの上級グレードに装備されるトノカバー、ラゲッジルームハードボードがないことも一因のようだ。

つまり、デザイン性(特にインテリアのカラーコーディネイト&メーター回り)、走りの質感ではHVが圧倒する…というのがヴェゼルである。実際、HV車の受注は80%近い。ガソリン車とHV車の価格差はXグレード基準で34万円とびっくりするほどき大きくない…という点もHV人気を後押ししているようだ。

購入時はできればガソリン車、HV車、FF、4WDを乗り比べ、乗り味、インテリアデザイン、装備類を含め確認してほしい。それぞれキャラがけっこう違うからだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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