【SOCIAL MEDIA WEEK 東京】社内新規事業立ち上げの陥りがちな3つのワナ

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【SOCIAL MEDIA WEEK 東京】社内新規事業立ち上げの陥りがちな3つのワナ
【SOCIAL MEDIA WEEK 東京】社内新規事業立ち上げの陥りがちな3つのワナ 全 17 枚 拡大写真

2月18日、講談社で開催されたソーシャルメディアウィークにおいて、「BtoBtoCにおける新規事業の立ち上げ方とサービスグロースハック」と題された講演がおこなわれた。

社内で新規事業を立ち上げる。たとえば三菱商事の社内ベンチャーから始まった「Soup Stock Tokyo」のように、一企業内で新しい事業がうまれるケースがある。

このとき、社内ベンチャーだからこそ注意すべきワナがある、と指摘するのは竹澤秀明氏(サイバー・バズ メディア本部マネージャー兼プロデューサー)。

Facebookアプリの懸賞・モニターサービス「ポチカム」で著名な竹澤氏が社内で新規事業をおこなう際のメリット、デメリットを整理し、サービス成功をさまたげる注意点を提示する。

竹澤氏は「ポチカム」の他に「Ripre」「WEB-PR」などのサービス立ち上げに携わってきた。大学卒業後、ソーシャルメディアマーケティングの専門会社に入社。サイバー・バズにて新人賞、社内事業プランコンテストで同氏がつくったサービス「ジギョつく」が評価されアイデア賞を受賞するなど、まさにこの業界の第一人者といえる存在だ。

環境的には圧倒的に有利 芯をブラさないことがキモ

竹澤氏によれば、サービス企画立案に際して、まずは状況を整理することを重視するという。「社内で新規事業を立ち上げる際のメリットとデメリットはなにか。これらを考慮したとき、結論からいえば“社内で”新規事業をおこなうことはゼロからつくることに比べ圧倒的に有利な状況」なのだという。

ただし、強みをぶらさないことさえ注意すれば、であるが。

竹澤氏は、ベンチャーでゼロから立ち上げるのではなく社内で新規事業を立ち上げるメリットは主に4つあると説明する。1.資金調達の必要がないこと、2.人材の確保が容易なこと、3.オフィス環境が整っていること、4.会社の看板を使い会社の強みを活かしながら事業をおこせることだ。これは竹澤氏自身の経験から強く感じたことだったという。

反対に、デメリットはなにか。メリットのうちの4.会社の看板を使えることと表裏一体だが、1.会社の影響を色濃く受けてしまうことが挙げられるという。新しく作ろうとしている事業の本筋が、現在の会社の状況に影響された場合、ポジションの取り方が難しくなってしまう。

また重要な難点に2.外部の意見の影響を受けやすいが、意見者がその事業領域に精通しているとは限らないということを強調した。

社内で新規事業をするとき、その事業をやったことがある人がいない状況の中で、社内で発言力ある立場の人によって影響を大きく受ける環境にある。そうして社内で出されたサジェスチョンはかならずしも正しくないのだという。

「例えば一昔前ガラケ―でソーシャルゲームが盛んだったときには、「スマホはゲームにマッチしない」などと言われていたことがある。またmixiとFacebookが争われていた時代、日本ではmixiの方が強くFacebookは本当に流行るのか、といった懐疑的な意見を言う人も多くいた。しかし結局はFacebookが逆転勝ちした。この様な例からも言えるように、何がおこるかわからないなかで社内の意見者に影響をうけることは時に適切な判断を阻害されかねない」(竹澤氏)。

デメリットの3つ目は3.何段階かの社内調整をするうちに強みを失ってしまう危険があることだという。

「企画を通す際、大方の企業は何階層かにわたって社内調整をする。このとき上部の者がリスクを考慮するため事業の角がまるくなってしまう。このためそのうち強みを失ってしまう場合がある」という。したがって、「企画を通すプロセスにおいても強みになる領域はブラさないことを意識するべき」と竹澤氏は強調する。また竹澤氏は、新規事業は社内における評価制度が定まりにくいというデメリットも挙げた。

◆論理的思考がヒットを生むとはかぎらない 作り手の世界観を貫け

次にサービスの内容に話しを移す。
どんなサービスをつくるか。この根本的な企画をする際に認識しておかなければならないことは、「過去のヒットの法則が通用しなくなってきている」(竹澤氏)ことだという。

『半澤直樹』がドラマ界のヒットの常識からはずれていたこと。『風立ちぬ』がジブリなのにファンタジー的要素に欠けていたことなどのケースもこれを裏付けていると竹澤氏は指摘する。

だからサービスの企画を通す際、論理的に妥当性を主張できないからといってヒットしないとは限らない。たとえば「LINE」。「“スタンプがかわいいからヒットする”という主張。実際に企画会議でここをひたすら訴えるのは難しい。でもきっと作り手的にはブレてはいけない要素だったはずで、これをどうにか貫くことがヒットのカギ」(竹澤氏)。

同様に昨年ヒットした「なめこ栽培」でも同じことがいえるという。もし会社の企画会議だったら、「コレクション意欲を高めるには他の選択肢があった方がいい。エリンギはなぜいれないの?」という発言も飛び交いそうだ。この発言は聞き手が納得しやすい極めてロジカルなものだ。しかし竹澤氏いわく「でも、作った人の中には、なめこの世界観が確立されていて、これを貫いたことがポイント」なのだという。

つまり新しい事業の立ち上げとはいえ、社内でつくる場合、純粋なアイディアをまどわす要素がおおいことがいえるようだ。さらに常に会社の事業からの距離感を意識せざるを得ないところも難儀だ。竹澤氏のいう、「ここは譲れない魅力」をわすれずに、粘り強くつらぬくことがキモなのだろう。

《北原 梨津子》

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