【BMW X5 試乗】パワー・快適性に優れたクリーンディーゼルの高速ツアラー…松下宏

試乗記 輸入車
BMW X5
BMW X5 全 15 枚 拡大写真

BMW X5の3代目モデルが登場した。ジャンルとしてはSUVの中に入るクルマだが、BMWはSAVと呼び、独特の性格付けをしている。xDriveの4WDシステムを持ち、悪路やオフロードでも実力を発揮するモデルながら、その基本的な性格は高速ツアラーにある。

外観デザインは見るからにSUVであり、ほとんどロールを感じさせない高速レーンチェンジを実現するなど、BMWらしい走りのモデルとしての特徴を持つのがX5で、その性格は今回のモデルでも基本的に変わっていない。フラットなライド感覚は健在だった。

試乗車はxDrive35dのxラインとMスポーツの2台だった。新型X5にはV型8気筒や直列6気筒のガソリンエンジンも搭載されているが、BMWが用意していた試乗車両はディーゼル車のみ。それだけクリーンディーゼルに力を入れているという姿勢の表れである。

直列6気筒3.0リッターのコモンレール直噴ターボ仕様のクリーンディーゼルは、190kW/560N・mという強力な動力性能を発生する。560N・mもの最大トルクをわずか1500回転で発生するのだから、走り出した瞬間にすぐに最大トルクに達している。低速域から力強い走りが得られるのも当然だ。

回転の上昇もスムーズだ。昔のディーゼル車にあったような吹き上がりの鈍さを感じさせることなく、ガソリン車と同じような感覚でタコメーターの針が駆けあがっていく。ディーゼルなので回転の上限が低いから、そこに達するのも早い。

静粛性もディーゼルとは思えないレベルにある。車内にいたなら、アイドリング中でも走行中でもディーゼル車とは思えないくらいに静かだ。自分の所有する320dはアイドリングや低速域ではけっこううるさいのに、X5が余りにも静かなのであきれさせられた。

このエンジンはZF製の8速ATとの組み合わせで、JC08モード燃費も13.8km/リットルを達成している。車両重量が2280kgに達する重量級のSUVとして相当に優れた数値である。しかも軽油だから、燃料経済性はとても高いレベルにある。

xDrive35dのベースグレードとなるSEは792万円の価格が設定されていて、試乗したxラインは864万円、Mスポーツは880万円の設定だ。簡単には手の届かない高級SUVだが、走りの魅力は相当に高いレベルにある。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  2. エアレスタイヤ搭載でペダルもなし、免許不要の特定小型原付「Future smart」発売
  3. 取り付け約10秒、カーメイトが『カローラクロス』『メルセデスベンツ』各車純正ミラー専用設計の「ワイドリアビューミラー」を発売
  4. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ...ワイド&ローのフォルムに注目だ!
  5. そのホイール、何年使ってる? 知られざるアルミホイールの寿命と見極め術~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る