「火星のクレーター命名権売ります」クラウドソーシング火星地図プロジェクト開始

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「火星のクレーター命名権売ります」クラウドソーシング火星地図プロジェクト開始
「火星のクレーター命名権売ります」クラウドソーシング火星地図プロジェクト開始 全 2 枚 拡大写真

アメリカの民間宇宙科学支援団体『Uwingu(オーウィンゴー)』は、火星の地図をWeb上で検索し、クレーターに名前を付けられるクラウドソーシング火星地図プロジェクトを開始した。直径1キロメートル程度の小さなクレーターに命名する寄付額は5ドルからとなる。

スワヒリ語で"空”を意味するUwinguは、宇宙科学、教育への支援を目的として2012年に設立された有限責任会社。元NASAの惑星科学者で、スペースシャトルでの紫外線観測機器や太陽系外縁天体探査計画「ニュー・ホライズンズ」の主任研究員の一人、S. アラン・スターン博士がCEOを務める。商用地球観測衛星オペレーターのデジタルグローブ社、商用弾道宇宙飛行を計画するXコアエアロスペース社、Google ルナXプライズ参加企業のムーンエクスプレス社、ロッキードマーチン社などが支援に名を連ねている。

2014年2月に発表され、今回Uwinguサイト上で開始された火星地図命名プロジェクトでは、NASAやESA(欧州宇宙機関)の火星探査ミッションのデータから作成された火星の地図を探して、まだ名前がつけられていないクレーターに参加者が自由に名前を付けることができる。クレーターはあらかじめ円でマークされており、「Available」の表示があれば命名可能なクレーターだ。クレーターの大きさによって5ドルからの寄付金が設定されている。1例では、北緯マイナス18.96度、東経184.65度にある直径1.12キロメートルのクレーター5ドル、付近に存在する直径25.7キロメートルのクレーターは250ドルとなっていた。最大で直径350キロメートル以上の、無名のクレーターも存在するという。

火星では、IAU(国際天文学連合)がこれまで50年間に1万5000カ所の地形に命名を行っている。こうした地形はUwingu火星地図上にも命名済みとして表示されており、新たな地名をつけ直すことはできない。また、命名権を購入して名付けが行われたクレーターに、他の参加者が名前を上書きして付けてしまうことはないとUwingu側では説明している。火星地図には50万個の無名のクレーターが存在しており、自由に探索して名付けができる。今後は、山や丘、谷などクレーター以外の地名への命名サービスも準備中だという。火星探査50周年の年となる2015年までに火星地図完成と総額1000万ドルの寄付金を目指すという。

Uwingu火星地図でのクレーター命名は、あくまでも民間団体が作成した火星地図上でのサービスに留まっており、IAUが扱う正式な惑星の地名とはならない。Uwinguは以前にもIAUと系外惑星の命名コンテストをめぐって論争になったことがあり、「命名権」とはいっても、NASAやESAの論文を始め科学的な成果物に載るといったものではないことを念頭に置く必要がある。とはいえ、民間火星移住計画「マーズワン」では、Uwingu火星地図の採用を発表しており、こうしたプロジェクトの中では名付けたクレーターが取り上げられる可能性もある。また、命名料などUwingu活動への寄付金は、地球外文明探査計画「SETI」のアレン・テレスコープ・アレイ運用や国際ダークスカイ協会などへの支援金として使われる。

《秋山 文野》

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