JAXA 超音速試験機『D-SEND#2』試験機の異常飛行について調査報告

航空 テクノロジー
2013年8月 D-SEND#2ロール軸の回転について説明するJAXA D-SENDプロジェクトチームの吉田憲司プロジェクトマネージャー。
2013年8月 D-SEND#2ロール軸の回転について説明するJAXA D-SENDプロジェクトチームの吉田憲司プロジェクトマネージャー。 全 2 枚 拡大写真

2014年3月12日、JAXA 宇宙航空研究開発機構は、2013年8月に実施された超音速試験機『D-SEND#2』第1回試験機が飛行異常を起こした件について、調査報告と再試験に向けた今後の取り組み状況を発表した。

D-SEND#2は、静かな超音速旅客機を目指して、衝撃音の原因となるソニックブームを低減するためのJAXAの航空機研究プロジェクト。2013年8月16日は、スウェーデンのエスレンジ試験場にて高度30キロメートル上空の気球から試験機を地上に向けて分離し、飛行中の機体先端、および後端から発生するソニックブームが低減できるかどうか試験を行った。この第1回試験中に異常飛行が発生。機軸に沿って回転するロール運動を制御できない状態となった。いったん姿勢が回復し滑空したものの、機体は予定計測地点の8キロメートル手前に落下した。2回を予定していた試験は1回目で中止となり、原因と対策に関する調査が進められていた。

文部科学省 航空科学技術委員会に提出された報告書では、JAXA外部の有識者委員会を加えた調査・対策チームの原因究明、今後の技術的対策について報告している。報告書によれば、異常飛行の原因として、(1)機体の飛行制御プログラムでは、姿勢を安定に保つ能力に余裕が少なかった、(2)飛行制御プログラムを作成するための風洞試験を実施したさい、風洞模型を固定するための支持装置が設置されていた。そのため模型と実機では形状が異なることになり、その影響に対する考慮が不足していた、という2点を原因として挙げた。

調査・対策チームでは特定された原因に対応し、あらたな飛行制御プログラムへの改修を進めているとしている。機体の模型と実機との差が生じない飛行モデルの再構築はすでに完了しているとのことだ。

エスレンジ試験場は、冬季は利用できないため、3月以降に再使用可能となる。JAXAでは、技術的な準備が整った段階で、再試験を行うかどうか決定するとしている。

《秋山 文野》

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