【トヨタ ノア&ヴォクシー 試乗】人にも犬にも優しいファミリーミニバンの理想形…青山尚暉

自動車 ニューモデル 新型車
トヨタ・ヴォクシー
トヨタ・ヴォクシー 全 16 枚 拡大写真

新型『ノア』『ヴォクシー』はまさしく理想の多人数乗車可能なファミリーカーと言える。

新型は5ナンバーサイズを基本としつつ、全高を25mm低め、しかし室内高は新開発の低床プラットフォームにより60mm拡大。先代ではクラスでもっとも短かった(3列目席のニースペースで不利)ホイールベースを25mm延長しているのが特徴だ。

さらに2リットルのガソリン車とともに、"選択のひとつ"として『プリウスα』から譲り受けた、おなじみの1.8リットルエンジン+2モーター、システム最高出力136psのTHS IIを採用するハイブリッドモデルを新設定。

プリウスαより大人2人分ほど重い車重だから、同じハイブリッドシステムでは役不足ではないか?と思えるが、仮に現在、トヨタが持っていない2リットル級のハイブリッドシステムを新開発したとすれば、価格がグーンと跳ね上がること必至。そのあたりを考慮したプリウスαからのシステム流用なのである(ヴォクシーのVグレード比較でハイブリッド車は37万円高)。

スライドドア部分はクラスでもっとも低い地上360mm(ステップ前端値ですが)の高さのワンステップフロアを実現。後席乗降性はクラスベストである。

3列目席の居住性、特にニースペース方向が拡大した新型だが、大きなニュースは7人乗りに『エスティマ』や『アルファード』『ヴェルファイア』同様、かつクラス唯一のスーパーリラックスモードを備えた点だ。具体的には3列目席を楽々操作で左右ハネ上げ格納し、最大810mmのスライド量(8人乗りベンチシートのスライド量は580mm)を持つ2列目キャプテンシートを中寄せし、最後端位置までロングスライドすることで独立4座のスーパーサルーンに変身させることができる。

その際の2列目席のニースペースは身長172cmのドライバー基準で驚愕の約700mm(通常時約300mm/セレナ約300mm、ステップワゴン約355mm)。さすがにエスティマの約780mm、アルファード&ヴェルファイアの約800mmにはかなわないものの、クラス最大であることは間違いなく、前席ははるか遠い。

スーパーリラックスモード時の2列目席足元のフラットフロアは幅約1400mm、奥行き約820mm。ベビーカーをそのまま乗せられ、大型犬をゆったりとくつろがせることができるスペース、広さである。

ここで主に試乗したのはガソリン車の16インチタイヤを履くエアロモデル(ヴォクシーZS)。ガソリン車はエアログレードが選択できるのが特徴だ(ハイブリッドは標準モデルのみの設定)。

乗り心地は「先代エアロモデルの乗り心地は硬すぎた」というユーザーの声を反映し、標準の15インチタイヤ装着車よりわずかに硬めにはなるものの、先代よりずっとマイルドな快適指向。ファミリーカーとしてよりふさわしくなっている。

ただし、2列目席の快適性では、乗り比べると8人乗りのベンチシートが優位。7人乗りのキャプテンシートは路面によって背もたれ部分の振動が気になることがある。シートベルト内蔵のシートの重さ、ロングスライドによる取り付け部剛性低下などがその理由と考えられる。スーパーリラックスモードの魅力を取るか(7人乗り)、快適性(8人乗り)を取るか、難しい選択ではある。

操縦感覚は無駄な動きのない軽快ですっきりしたもの。腰高感は最小限でカーブや山道、高速レーンチェンジ時の姿勢変化、ロールも実に穏やか。安心感の高い操縦性に徹(てっ)している。

動力性能は市街地ではもちろん、高速走行でも十二分。街乗りベストに割り切った感ある!?ハイブリッドモデルに対して中高速域では段違いの余裕を見せる。

しかも全体的な静粛性は大きく向上。特にロードノイズの遮断は見事で、長距離走行時の快適度は格段に向上したと言えそうだ。

ちなみに新型ノア、ヴォクシーはドッグフレンドリーカーとしても認定できる。中大型犬の乗降は地上360mmのワンステップフロアを持つスライドドア、開口部地上高が先代より80mmも低まった地上500mmでしかない段差のないバックドア側の両方から可能。犬の居場所も7人乗りの広大な2列目席足元フロア、2/3列目席、片側を格納した3列目席横フロア~荷室部分と自由自在。大型ケージの積載も余裕である。

極めつけは上級グレードに装備される消臭機能付シート表皮、2列目席に愛犬を乗せたときにうれしいスライドドア部分のサンシェード、そしてアイドリングストップ時でも室内の温度上昇を抑えてくれる蓄冷式エアコン、荷物を持ちつつ犬を抱いていたり、リードを引いていたりする状態でもスライドドアを楽々開閉できるワンタッチスイッチ付きパワースライドドアなどの装備である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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