ドローンと人工衛星の機能を併せ持つ『成層圏バス』構想 タレス・アレニア・スペースが発表

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ドローンと人工衛星の機能を併せ持つ『成層圏バス』構想 タレス・アレニア・スペースが発表
ドローンと人工衛星の機能を併せ持つ『成層圏バス』構想 タレス・アレニア・スペースが発表 全 2 枚 拡大写真

フランスの航空宇宙企業、タレス・アレニア・スペース社は、高度20キロメートルの成層圏で定点滞空ができる大型無人飛行船『StratoBus(成層圏バス)』の構想を発表した。今後5年以内にプロトタイプが登場するという。

成層圏バスは、高度20キロメートルに自律的に定点滞空することができる無人飛行船。地球観測、安全保障、通信放送、航法など人工衛星のような機能を持ち、「成層圏プラットフォーム」と呼ばれる施設の一種だ。長さ70~100メートル、直径20~30メートル程度の大きさで太陽光発電システムと燃料電池を備える。風速25メートル毎秒までの風に対応して自動でモーター出力を調整し、上空の一点に留まり続けることができる。

最大で200キログラムまでの観測機器や通信機器を搭載することができ、運用寿命は5年間。水害や山火事など災害状況の監視や気象観測、国境や海洋監視活動、GPS衛星などからの航法信号の増幅、通信・放送などのミッションに対応できるという。

人工衛星よりもコストが低く、電波の送受信に遅延が少ない、打ち上げリスクが小さいなどのメリットから、成層圏プラットフォームは各国で研究開発が行われている。日本でも2000年代前半に宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構などが中心となって実証実験が行われているが、実用化には至らなかった。また、2013年には、Googleが飛行船ではなく気球を使った通信網構築構想「Project Loon」を発表している。

タレス・アレニア・スペースでは、成層圏バスは耐久性と定位置に自律的に留まる機能でProject Loonより優れているとしている。開発には航空宇宙大手エアバス・ディフェンス&スペースやインフレータブルボート製作のゾディアック・マリーン、フランス原子力庁 新エネルギー部門のCEA-Litenなどが参加している。今後5年以内には最初のプロトタイプ機が登場するとしている。

《秋山 文野》

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