【豊作計画】トヨタの農業IT管理ツール…農作業工程を「見える化」

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豊作計画の概要
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トヨタ自動車が米生産農業法人向けに開発した農業IT管理ツール「豊作計画」。その運用が今月から始まった。

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豊作計画は、インターネットのクラウド環境を活用し、資材費の削減、業務の効率化など、稲作の生産プロセスを支援するもの。先人たちの経験や知恵を「見える化」して、クラウドに蓄積し、品質と効率を向上させるのが狙いだ。

スマートフォンやタブレット端末から利用することができ、そのインターフェイスはITリテラシーに関係なく、誰にでもすぐに使えるようになっている。まず標準リードタイムを設定する画面に表示されるのは、育苗や種まきなど水田における工程。それぞれのリードタイムを入力するだけで、各水田での作業計画が自動的に生成される。

管理者は、水田の数が多ければ多いほど、その作業・管理に頭を悩ませるが、豊作計画を使えば、作業済みの水田、未作業の水田などが一目でわかるだけでなく、作業者に明瞭な指示が出せるようになる。地図上に指されたピンは、その色によって、計画に対して「遅れ」なのか、「翌日の計画」なのかがわかるようになっており、遅れている水田から優先的に作業が割り当てられていく仕組みだ。

作業者は、スマートフォンの専用画面から、どの場所で、どの作業を、どのくらいすべきかを確認することができる。画面をクリックすれば、GPSでそこまでの地図や、この水田では何をするのかが表示される。一方、管理者は事務所などで管理画面を確認。作業が開始されれば、地図上のピンの色が変わるため、リアルタイムで作業状況を把握することができる。作業者は、作業が終わったら、特記事項がある場合は、メモを残す。なければ作業終了ボタンを押す。その情報は、管理者だけでなく、ほかの作業者にも知らされる。

こうして集めたデータを分析して、次に生かそうとするのが豊作計画の真骨頂だ。品種、地域、天候、作業工数、肥料、収穫量など、蓄積されたデータを分析した上で、次の年への対策に反映させていけば、年々より効率よく高品質なものがつくれるようになる。ひいては農業のスタイルが変わるかもしれない。

トヨタの農業分野における取り組みは今に始まったばかりではない。2006年、茨城県つくば市でTPS改善活動を実施しており、またトヨタの上層部にも農業に関心を持つ人が多いという。豊作計画の陣頭指揮をとるトヨタ自動車友山茂樹常務は「クルマは1、2分で1台が完成し、その都度、カイゼンできるが、稲作のカイゼンは1年に一度だけ。今回は9社と一緒に進めていくので、単純に9年分のカイゼンができる。現時点で売り上げ目標はない。国内の農業の活性化に貢献できれば」と語った。

《村尾純司@DAYS》

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