【マツダ アクセラ XD 試乗】絶妙のセッティングで大トルクを堪能…高根英幸

試乗記 輸入車
マツダ・アクセラ スポーツ XD
マツダ・アクセラ スポーツ XD 全 16 枚 拡大写真

マツダ『アクセラスポーツ』のディーゼル「XD(クロスディー)」に試乗した。『アテンザ』に搭載していたのと同じ、トルクフルな2.2リットルのスカイアクティブDをアクセラに搭載したのだから、その走りが豪快であることは想像できた。けれども実際の走りは、そんな想像すら軽く吹き飛ばすほど、強烈なものだった。

試乗したのはスカイアクティブドライブと呼ばれる6速ATを組み合わせた仕様。このATもディーゼルの大トルクに対応して強化されているもので、ロックアップ領域の広さとシフトの反応の鋭さはガソリンのスカイアクティブ同様、非常にダイレクト感が高いものだ。

アクセルを床まで踏み込めば、リアをスクォートさせるほどの加速で強大なトルクを見せつける。取り分け2000~4000rpmのトルクは凄い。430Nmは伊達じゃない、と実感。しかも惚れ惚れするのはこのトルクを堪能するために、制御が実に絶妙なことだ。

つまりはトラクションコントロールの介入が絶妙で、発進時やタイトコーナーの立ち上がりでは舵角が付いていると簡単にホイールスピンを起こしてくれるのだが、軽くホイールスピンを残す程度にスロットルとブレーキを制御して、グイグイと加速してくれるのである。ジャダーや失速感を感じることなく加速していく。これまでの日本車では得られなかった、本当に絶妙な制御だ。こんなセッティングを実現するところを見ても、マツダの開発エンジニアは本当に運転が好きなのだなぁ、と思う。

ハンドリングはスポーツを強調しているため、「20S」より若干ハードな印象だが、「15S」よりもプレミアム感が高い感触。しなやかでリヤサスペンションが良く動く。大人4人乗車で鞭を入れても腰砕けになるようなこともなかった。XDにのみ与えられたダンロップ「SPORT MAXX」を完全に履きこなし、乗り心地もいいしハンドリングもまったく犠牲になっていない。

こうして走らせていて気付いたのは、低負荷時はディーゼルとは思えない静粛性、それに加速感の爽快さだ。BOSEのサウンドチューニングで雑味を取り去ったサウンドは、4600~5000rpmを加速していくあたりが最高に気持ちいい。人工スウェードをセンターに使ったシートもポジションが自然で、サポート適度なタイト感だ。

完全にスポーツモデルと言えるディーゼルは、こうしてあらゆる方向から走りの完成度が高められている。これだけの速さ、楽しさを実現しつつ、快適で高い環境性能をも実現しているのは、ちょっと類を見ない。どうしてアクセラの開発者たちが最上級モデルとしてスポーティなディーゼルを据えたのか、じっくりと乗ってみて理解できた。

ちなみに欧州ではエンジン出力によって税額が異なるため、ここまでのスポーツモデルはアクセラには設定していない。XDの走りが味わえるのは日本のユーザーだけの特権だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

高根英幸/自動車&工業技術評論家(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
芝浦工大機械工学部卒。トヨタ直営ディーラーの営業、輸入車専門誌の編集者を経てフリーの自動車ライターに。クルマのメカニズムすべてに興味をもち、旧車からハイテクまで納得いくまで解析。ドライビングだけでなくメンテナンスやモディファイも自ら積極的に楽しむ。著書に「クルマのハイテク」(ソフトバンク・クリエイティブ刊)

《高根英幸》

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