ダイハツ コペン 新型、「乗り味や走行フィーリングを納得いくまで追求」…上田亨執行役員

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全身をカムフラージュした新型コペンのプロトタイプ
全身をカムフラージュした新型コペンのプロトタイプ 全 11 枚 拡大写真

昨年の東京モーターショーで『KOPEN』が登場し、新たな軽カースポーツの再出発が待たれていたが、それがついに2014年6月『COPEN(コペン)』として発売されることが決定。それに先立ち、メディア向け事前試乗会が東京お台場に設けられた特設コースで行われた。

この日、用意されたコペンは、プロトタイプという姿で現れた。そのため、ボディ全体はカムフラージュするためのカッティングシートで覆われ、まさにテストコースを走る車両のようだ。内装も最終仕上げができていない状態で、商品化されるまでには相応の手直しが入るという。ただ、会場は東京深海新交通臨海線「ゆりかもめ」の「船の科学館駅前」すぐ目の前で、「ゆりかもめ」の乗客からも丸見え状態。あえて“見られる”ことを意識した会場設定だったことは間違いない。

その試乗車にはCVT車と5MT車が用意された。最初に試乗したのはCVT車だ。シフトをDレンジに入れアクセルを踏み込むと、DVVT(連続可変バルブタイミング機構)3気筒6600ccターボエンジンがCVT特有の唸り音を発しながらも軽快にスピードをアップしていく。最初のコーナーでステアリングを切ると、しっかりとした剛性感が伝わってきた。この時はオープン状態で走行していたのだが、重さも適度で思った通りのコースをキレイにトレースしていく。結構、思い切ってコーナーに入ったつもりだったが、何の不安もなくこれをクリアしたのには驚いた。

乗り心地も想像以上に良かった。特設コースはアスファルトの継ぎ足し工事が随所で行われ、本来なら継ぎ目のショックも伝わって来てもおかしくない。それが不快なショックを感じさせることなく、上手に処理して見せたのだ。しかも路面はしっかりと捉えているのでかなりスポーティに走っても不安は感じない。引き締まったサスペンションが乗り心地にも良い効果を、しっかり もたらしてくれていたのだ。もちろん、これは新骨格構造「Dフレーム」採用による高剛性ボディが効果を発揮しているのは疑いのない事実。『ミライース』のシャシーをベースとしながら、補強を加えることでここまで走りが鍛えられるのだ。

試乗の前、執行役員の上田亨氏は、「欧州車を高級車も含め数多く乗り込み、初代コペンでは達成できなかった乗り味や走行フィーリングを納得いくまで追求した」と語り、開発責任者の藤下修氏は「走って操る楽しさを実感できるスポーツカーを追求するために、新しい価値を形にすること。そのために操縦安定性と乗り心地をバランス良く向上することをまず目標とした」と話していた。そのコメントを裏切らない結果を体感させてくれたと言っていい。

続いて5MT車に乗り込んだ。この5MTシステムはインドネシアで販売中のLCGC(Low Cost Green Car)である『アイラ』で採用されたものを流用したもの。そのマッチングぶりに注視したが、結果はこれまた予想をはるかに超える素晴らしさ。CVT車よりもフロントが軽い分、軽快感が増していることもあると思うが、エンジンの回転と共に車速がリニアに上がっていく様はMTならでは。レッドゾーンの8000rpm(CVT車は7500rpm)まで一気に吹け上がり、剛性感あふれるステアリングと引き締まったサスペンションがそれをしっかりとサポートする。「走りを楽しむなら5MT車」まさにそれを実感した次第だ。

また、ツインエキゾーストから発せられる排気音も、オープンで走ることが楽しいと思わせるほど、適度なサウンドレベルで心地良いサウンドを響かせていた。ただ、この排気音はルーフをクローズしてしまうとほとんど聞こえなくなってしまう。これについてを担当した開発部 燃料・排気機能グループの中尾芳樹氏は「ルーフを閉じて走るより、オープンで走る楽しさがわかってもらえるレベルで排気音のチューニングを行った」と話す。

ところで、電動オープン構造を採用しているのは初代コペンと同じ。20秒程度でクローズ/オープンがそれぞれ行えるのもほぼ同じだというが、今回進化したのは収納スペースだ。初代コペンではオープン時はルーフが格納されるため、トランクに荷物はかなり限られたものしか搭載できなかった。それが新型コペンでは、トラックリッドを少し高めにすることで収容量をアップ。ルーフ収納時でも何とかゴルフバッグ一つぐらいは収納可能だという。

《会田肇》

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