整備人材不足、少子高齢化と技術革新の板ばさみ...自動車整備人材確保・育成推進協議会設立

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自動車整備人材の不足が深刻だ。国土交通省自動車課は16日、人材確保と育成推進のための協議会設立を明らかにした。関連13団体を集めて、その対策を話し合う初会合も22日に予定する。

整備人材の不足は、単に少子高齢化の影響だけではない。協議会にも参加する日本自動車整備振興会連合会(会長=坪内恊致/きょうち名古屋・三河ダイハツ会長)は、取材で「危機感を非常に持っている」と、話した。

「若者の生活環境がパソコン、スマホのレベルで日常生活がこと足りる。体を動かさなくてもモノが手に入ることで、整備業界も含め身体を使う職種への関心は薄れている。この一般的な傾向以上に、整備業界では整備士などの資格を取って社会に出る専門学校への入学希望者が、人口減少を上回るペースで進んでいる」(調整企画担当)

日整連の調べによると、自動車整備関係従業員数は約55万人(2013年)。前年比で3,991人(0.7%)の減少に過ぎない。しかし、全国自動車大学校・整備専門学校協会の調べによる整備士を目指す学校入学者数は、2003年に約1万1200人いたが、2012年には約5900人まで下がった。10年で半減だ。さらに、そこに業界の高齢化が拍車をかける。

整備要員の平均年齢は43.3歳だが、全体の約20パーセントは55歳以上だ。しかも、約70パーセントが従業員10人以下の企業で構成されている。

人の数だけでなく、教育や技術も不安が残る。前述の日整連担当者は、こう指摘する。

「HV、EVの普及で、自動車の仕様は電化、高度化されていく方向にある。将来の燃料電池車もそうだが、現状で普及が進んでいる衝突軽減などの安全装置は、コンピュータ制御の塊だ。こうした技術についていける人材の確保がなければ、自動車を動かして社会を支えていくことができなくなる」

22日の初会合後、協議会は幹事団体を決めて、個別テーマごとに出席者を変えて話し合いを行う予定だ。この協議会で、現役世代の退職を補うだけの新規参入を作り出す妙案を得たいところだ。

《中島みなみ》

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