【ホンダ N-WGN 試乗】走りのフィール改善しライバルひしめく激戦市場に挑戦…松下宏

試乗記 国産車
【ホンダ N-WGN 試乗】走りのフィール改善しライバルひしめく激戦市場に挑戦…松下宏
【ホンダ N-WGN 試乗】走りのフィール改善しライバルひしめく激戦市場に挑戦…松下宏 全 17 枚 拡大写真

『N-BOX』を大ヒットさせたホンダが投入した『N-WGN』は、軽自動車市場のど真ん中をねらったモデルだ。最近ではN-BOXのような超ハイト系のモデルが急速に人気を集めているが、本流はハイトワゴンである。

開発に当たっては、室内の広さ、見た目の立派さ、利便性、快適性、経済性、安全性など、軽自動車に求められる要素をすべて満たす欲張りなクルマを目指したという。軽自動車市場の中心をねらう量販モデルとしては当然である。

インテリアの質感はまずまずのレベルながら、『N-ONE』はより高い質感を備えていて、それには及ばない。ただ、カスタム系の主要グレードには、専用のシートや内装の仕上げが施されたクォリティインテリアが標準となる。

N-WGNでは駆動系の改良が進められた。動力性能の数値はN-ONEなどとと変わらないものの、軽自動車初のツインインジェクションやナトリウム封入バルブを採用して燃費性能を向上させている。

激しい燃費競争が繰り広げられる中で、軽自動車のハイトワゴンではワゴンRのリッター30.0kmが首位に立つ。N-WGNの数値はスズキ『ワゴンR』には届かなかったが、リッター29.2kmでターボ車も含めてエコカー減税で免税対象だから、十分に良い数値である。

N-WGNには燃費運転を支援するECONスイッチを備えるほか、メーターの色が変わって燃費運転を促すエコインジケーターも標準となる。アイドリングストップ機構はターボ車を含めた全車に標準だ。

駆動系の改良によって走りのフィールも良くなった。ターボ車はもちろん自然吸気エンジンの搭載車でも低速域からトルク感のある走りを実現する。市街地ではアクセルを踏みすぎることなく交通の流れに乗っていける。柔軟性が高まって扱いやすいエンジンになった印象だ。

足回りも熟成が進められた印象だ。乗り心地を損なうことなくしっかりした走りを実現しているからだ。ターボ車とカスタム系のモデルにはフロントにスタビライザーが装着されているため、落ち着きがあって安定感のある足回りとされている。

逆に標準系の試乗車である「G・Aパッケージ」には前輪のスタビライザーが装備されておらず、柔らかめの乗り心地は良いが、操縦安定性にはやや物足りなさも感じた。ダイハツのように全車標準の方向性で取り組むべきだろう。

N-WGNは装備の充実度も高い。最近話題の先進緊急ブレーキを含む「あんしんパッケージ」は主要グレードに標準で、ベースグレードにもオプションで用意される。結果、装着率は80%に近いという。横滑り防止装置のVSAはヒルスタートアシスト付きで全車に標準装備だ。

快適装備もフルオートエアコンが全車に標準装備され、上級グレードはプラズマクラスター付きになるのを始め、プッシュ式エンジンスタート、高熱線吸収&UVカットガラスなどが全車に標準となる。

N-WGNは標準系のG・Aパッケージ、カスタム系のG・Aパッケージ、同G・ターボパッケージがバランス良く売れているという。予算に余裕があるならカスタム系のターボパッケージがお勧めだが、Aパッケージも含めて好みと予算に合わせて選べば良い。あんしんパッケージの装着車を選ぶのは必要条件だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る