【ホンダ NC750X/S/インテグラ 試乗】バイクに乗り始めたときの感動がよみがえる…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
ホンダ NC750X(和歌山利宏)
ホンダ NC750X(和歌山利宏) 全 9 枚 拡大写真

2012年に登場したクロスオーバータイプの『NC700X』、ロードスポーツタイプの『700S』、スクータータイプの『インテグラ』から成るニューミッドコンセプトの『NC700』シリーズ3モデルが、こぞって『NC750シリーズ』へと拡大進化した。

【画像全9枚】

これらは、「日常的に扱いやすく快適で、低燃費で低価格」であることを目指し、近年の高性能バイクが忘れていたことを、原点に立ち返り、現代の技術で追求している。通常の燃料タンク位置に収納スペースを設け、低重心化のため、前傾角62度の270度クランク並列2気筒エンジンを、ループを低位置に配したダイヤモンドフレームに搭載。エンジンもレッドゾーンが6500rpmからという日常域重視の低中速型である。

3モデルの中で、こうしたねらいが生きていて、ベーシックなオールラウンダーらしいキャラクターを、もっとも明確に表現しているのはXだろう。実際、700Xは売り上げもトップで、オートマチックのDCTトランスミッションとの相性も最高である。

さて、新型の『NC750X』は、ボアを4mmアップして、排気量を669ccから745ccに拡大。バランサー軸を1軸から2軸として、振動にも対処している。最高出力は発生回転数をそのままに4ps、最大トルクも12%近く高めており、減速比のロング化が可能となって、燃費も向上しているという。

走り味の違いは歴然だ。ただ力強くなっただけでなく、回転フィーリングが上質なものとなった。いい意味で質実剛健で素のバイクを思わせたものが、高級感を伴ったものへと変身している。

おかげで、開放感と大気を味えるような持ち味が、より高まっている。上限が6500rpmのエンジンは、乗り手を刺激せず、全神経の8割をマシン操作に集中しなければならない昨今の高性能バイクとは違い、それらを周囲の雰囲気を味わうことに振り向けることができる。バイクに乗り始めたときの感動がよみがえる思いだ。

750Xのサスストロークは、前後120mmのSよりもフロントが33.5mm、リヤは30mm大きく、その分、足着き性は劣るが、低重心感もあって、足着き時の負担は一般的なミドルクラスの水準といったところ。乗車姿勢もアップライトで、乗り心地の良さと相まって、ストレスなく遠くへ足を伸ばしたくなる。

また、DCTの制御特性も改良され、コーナーに向けて減速していくと、自分の意思を反映したかのように、ギヤダウンしていく。

ちなみに、ロードスポーツの750Sは、気楽に乗れる一方、扱いやすい低重心の車体を曲げていく面白さもある。またインテグラは、750cc化とDCTの改良で、一層、スクーター感覚で楽しみやすく、スポーティさも向上している。

従来型700では高回転への伸びが物足りなく、つまらないと思う人もいたようだが、それはトルクを使わず、パワーで走ろうとしているからだと思う。新型750ではそうした不満を持つ人も少なくなるだろうが、中回転のトルクを使って走り、ストレスから開放された走りを楽しめることに変わりはない。

《和歌山 利宏》

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