【ジープ チェロキー 試乗】直4とV6、アドバンテージはどっちに!?…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
ジープ チェロキー
ジープ チェロキー 全 3 枚 拡大写真

このデザインの予感は、『グランドチェロキー』のときからあった。でも、ここまでやってくるとは、ずいぶん思い切ったものである。

ヘッドライト周辺は、安全関連の数々のルールがあるけれど、製造技術とデザイントップの判断で、かくも未来的な顔立ちへと変身である。だまされたと思ったのはヘッドライト。一番上の「目」だとばかり思っていたら、ヘッドライトは2段目で、「目」の部分はLEDをはめこんだ車幅灯なのだった。

伸びやかなデザインゆえに横幅1900mm超えと信じていたら、超えているのは一番オフロードにふった「トレイルホーク」だけで、その他ふたつのグレードは、タイヤのフェンダー部分をすっきり抑えて1860mm。大きいことに変わりはないけれど、扱いやすさではぐっと効果を高めている。気になるインテリアの質感も、「日本では、まっすぐなキュウリしかスーパーに並ばない!」という情報が伝わったのかどうか不明ながら、インパネ、シフトレバー周辺ともに、日本人好みのしっとりした質感にまとめられた。ただ、アメリカ車ならではのシートクッションの大きいところは健在で、安心感に包み込まれる気分である。

今回は、大きく分けると2.4リットル+FF(直4)と3.2リットル+4WD(V6)の2タイプになる。価格面からいっても2.4リットルに注目が集まるところだろう。確かに、直4エンジンはアクセルを踏み込んだときのトルクの出方に「がんばってんなー」と感じさせる部分が多少あるものの、思いのほかパワフルでその走りは軽く、9速ATのなめらかさが秀逸である。おお、これで十分じゃん。そう思いつつ、しかしながら3.2リットルに乗り換えると、一瞬でその安易な考えは撃破される。

「やっぱりアメリカ車は、V型じゃなくっちゃ」

ため息をつきながら、そのおおらかな乗り心地にうっとりするのである。

ゆとりのあるトルク。直線番長的な乗り心地。これこそ北米大陸を走ることを前提に開発されたアメリカ車である。さらに3.2リットルには、スノー、マッドなど切り替えられる「セレクテレイン・システム」がついているのだが、そこには「スポーツ・モード」がある。アスファルトの路面であってもこれに切り替えることによって、がっちりとした4×4の機能が働き、下半身の安定した走りを楽しむことができる。金銭的に余裕があるなら、ぜひ、4WDを選んでいただきたいところだ。

ついでといっては失礼だが、前日の大雨でこれでもかというほどにぬかるんだオフロードコースを、オフロード・スペシャルともいえるトレイルホークで走らせてもらった。オフ初心者でも安心のクレバー、かつ、頼もしい走破性能。こういうクルマに乗っていると自分の行動範囲があっという間に広くなるんだろうな。やばいくらいに。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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