【ホンダ CTX1300 試乗】クルーザーの新境地を開拓、V4エンジンの“スポーツクルーザー”…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
ホンダ CTX1300(和歌山利宏)
ホンダ CTX1300(和歌山利宏) 全 14 枚 拡大写真

ホンダから登場した『CTX1300』は全くの新種で、『ST1300』の縦置きV4エンジンを低中速型とし、新設計の鋼製ダブルクレードルフレームに搭載する。

ただ、CTXというネーミングは、並列270度クランク2気筒エンジンを搭載する『NC700シリーズ』と基本を共用し、昨年登場した『CTX700』から譲り受けており、その兄貴分だと考えていい。これらは、ハーレー・ダビッドソンに代表される伝統的な形態にこだわらず、全く新しい世界観を表現したクルーザーなのだ。

そうした観点からすると、『GL1800』が基本にある『F6C』も、同じファミリーに加えてもよさそうに思える。実際、スタイリングにも近いコンセプトを感じる。その意味では、この1300は、CTX700とF6Cの間を埋める存在と考えて差し支えないところだ。

確かに、CTXは車格も車重も、F6Cと同等とはいえ、絶妙に小さい。最高出力も117psに対し84psだ。共にエンジンは縦置きクランクで、後輪駆動もシャフトドライブ。となると、やはりF6Cの弟分として見てよさそうだ。

でも、その考え方は、必ずしも正しくない。両者は兄弟のようであっても、キャラクターが見事に色分けされていて、排気量の違いは感じる大きさではなく、キャラを表現する要素にすぎないからだ。

足着き性はF6Cと同等で、ライポジはいくらかCTXのほうがアップライトで、クルーザーっぽい。感じる車格は同じようなもの。

ウルトラスムーズなF6Cに対し、CTXはV4らしい鼓動感がある。普通に走っていて感じるトルク感に、大差はない。高速域に向かってフル加速させるならともかく、総減速比が大きいため同等の後輪駆動力が得られ、それでも不足なら無意識にスロットルを開いているからだ。

そして、両車のハンドリングは、全くもって異質である。ビシッとした剛性感と安定性のF6Cに対し、このCTXは3次元的な動きをすると表現していいほど、表情が豊かだ。F6Cがツインスパータイプで、CTXはダブルクレードルというフレームの違いが明確に現れているようだ。ステアリングもキビキビ感に勝る。

F6Cがパフォーマンスクルーザーなら、このCTXはスポーツクルーザーとしてよかろう。そして何より、クルーザーらしい快適さと爽快さを、伝統的な形態のクルーザーとは全く異なる乗り味のもとで、実現していることが素晴らしい。

《和歌山 利宏》

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