EV充電規格 CHAdeMO、 EUでの存在感拡大「排斥消えつつある」

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CHAdeMO(チャデモ)協議会第4回総会
CHAdeMO(チャデモ)協議会第4回総会 全 9 枚 拡大写真

堅実に進む普及を背景に、国際標準化の認証も獲得

2014年5月20日、東京ビッグサイトにおいて、「CHAdeMO(チャデモ)協議会第4回総会」が開催された。

「昨年度を振り返ってみますと、インフラ設置の環境が大きく進展いたしました。日本国内におきましては、経済産業省による次世代自動車充電インフラ整備推進事業が始まり、これを支援する自動車メーカー4社による充電インフラ普及プロジェクトが開始しています」

「また海外におきましても、米国での設置が本格化し、欧州は1000か所を超えるほどになり、先行する日本を追いかける形で、設置が始まっております。昨年、この場で、“世界での設置個数が1年で倍増し、2000を超えた”とご報告させていただきましたが、直近ではグローバルで約4000と、昨年と比べて、ふたたび倍増しております。毎月、急速充電器が増える数字を、報告してもらうのですが。チャデモ会長として数字が増えていくのを、大変、嬉しく思っています」と、協議会の会長を務める日産自動車の志賀俊之氏は、冒頭の挨拶をスタートさせた。

志賀氏の言うとおり、世界でのチャデモ方式の急速充電器の設置数は3688か所にまで増えた。内訳は日本では1967か所、欧州1117か所、北米592か所。特に北米は前年の4倍にまで一気に増えたというのだ。

「次に、当協議会の柱の一つであるチャデモ仕様の標準化につきましてご報告いたします。国際電気会議(IEC)においてチャデモ仕様の国際標準化を進めてまいりましたが、今月、コネクター規格が承認され、日本、欧州、米国、中国の各仕様が併記されたDC充電ステーション、通信プロトコル、コネクターという3件の国際規格がすべて承認されました。これらの国際規格の国内JIS化作業も完了し、近々に発効される運びとなっております」と志賀氏。

つまりIECが、日本、中国、アメリカ、ドイツの4カ国から提出された、それぞれの充電コネクターを国際標準と認定。どれかひとつが他を排除するのではなく、4種類の混在を許容することになったのだ。

◆存在感の拡大により、コンボvsチャデモという図式に変化が

「このように標準化が進み、各仕様が国際規格として認められたわけで、コンボ対チャデモという図式で話題となりましたが、その関係にもいくらか変化が出てきております。関係する様々な皆様の努力によりまして、チャデモ協議会の活動の実績が認められ、チャデモ仕様を排除しようという動きも消えつつあります。コンボとチャデモの両方に対応したマルチタイプの充電器という提案も出てきており、検討が進められているところであります」と言うのだ。

志賀氏が「排斥の動きが消えつつある」という根拠のひとつはIECによる国際標準化認定であるが、もうひとつの理由もあるようだ。それが、2014年の春に最終文案となったEUの「代替エネルギーインフラ整備推進法案」の内容だ。この法案は2013年初頭に提出された当初は「公共の急速充電設備はコンボ方式に限る」というチャデモ陣営としては驚きの内容になっていた。このままでは事実上のチャデモ方式が排除されてしまうということで、チャデモ協議会のメンバーは必死のロビー活動を展開。その結果、最終案の文面を「コンボ2型コネクターを備えること」から、「少なくともコンボ2型コネクターを備えること」に修正させることに成功させたのだ。

この修正は「少なくとも」の文言がプラスされただけで、ほとんど差がないように見える。しかし、直近の欧州市場では、ひとつの急速充電器に、チャデモとコンボ方式という複数のコネクターを備える「マルチタイプの充電器」が増えつつあるという。つまり、修正後の法案であれば、マルチタイプの充電器はOK=チャデモ方式のEVが公式の充電器を使用可能となる。逆に言えば、修正がなされなければ、チャデモ方式の充電器は公共施設に採用されなくなり、それに伴いチャデモ方式のEVも売れなくなる可能性が大きかったのだ。

それだけ大きな意味を持つ修正の事実が、志賀会長に「排除の動きが消えつつある」と発言させたのではないだろうか。

とはいえ、あくまでもEUにおけるチャデモ排除の動きをしのぎ、その存在が許されただけでもある。この先のシェア争いこそが、本当の意味でのチャデモ方式の戦いになる。制度の戦いではなく、商品力による戦いがこれからは繰り広げられるのだ。

《鈴木ケンイチ》

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