ロシア測位衛星『グロナス』地上局設置交渉をアメリカと再開へ…露紙報道

宇宙 企業動向
GLONASS(グロナス)衛星の運用状態を示す公式サイト INFORMATION-ANALYTICAL CENTRE
GLONASS(グロナス)衛星の運用状態を示す公式サイト INFORMATION-ANALYTICAL CENTRE 全 1 枚 拡大写真

5月20日、ロシア日刊紙「イズベスチヤ」紙は、ロシアとアメリカの間で中断されていたロシアの全地球測位衛星『GLONASS(グロナス)』システムの地上施設を米国内に設置する件について、交渉を再開すると報じた。

ロシアは1970年代から開発していた、米GPSと同様の全地球測位システム「グロナス」衛星網を、数度の停滞・中断の後に2011年に完成させた。約24機の衛星が地球全体を周回し、iPhoneを始めとする衛星測位対応の受信機やスマートフォンは、グロナスによる位置情報の取得も可能になっている。

グロナス衛星網は旧来の衛星からの更新と精度向上を進め、2015年には誤差1.4メートル、2020年には誤差0.6メートルに達する計画となっている。アメリカの全地球測位システム『GPS』、ヨーロッパの『Gallileo(ガリレオ)』との相互運用性も進める予定となっており、2012年には世界の航法技術に関する学術団体「ION(航海学会)」の全地球測位航法衛星に関する国際会議の場で米国内に地上局を設置するとの合意に達していた。協力は全3段階となり、測位衛星網を用いた学術観測データの交換から、米露相互の衛星運用施設設置まで含む。イズベスチヤ紙によれば、米国防総省とCIAがこれに反対し、2013年から協議は停滞していたという。

今月5月13日、ロシアのロゴジン副首相は、ウクライナ情勢から米国が発動した制裁措置を受け、米露の宇宙分野での協力体制に言及。米国内でのグロナス地上局の設置が進展しない場合、ロシア領土内でのGPS地上局の運用を停止すると述べていた。このGPS地上局とは、2011年からアメリカ大学間地震研究連合とロシア科学アカデミーとの協力により設置された、地震を観測するためのもので、GPS衛星を軌道上で運用するための施設ではない。また、観測データの米国への送信に関する費用などは、アメリカ側が負担していたという。イズベスチヤ紙によれば、ロシア科学アカデミーの地球物理学部門長は、6月1日からとされるロシア国内のGPS地震観測施設について運用停止などの指示は受けていないとコメントしている。

同紙報道では、グロナス地上施設に関する交渉再開は、Roscosmos(ロシア連邦宇宙庁)から米外務省に文書が送られた段階で、米国務省からの返答などが確認された状態ではないとしている。米側の対応はまだ明らかではないが、グロナスは今年4月に機器のソフトウェアの不具合から数時間、全測位システムが停止するといった不具合も発生しているなど、運用に不安定な部分も抱えている。

《レスポンス編集部》

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