【中田徹の沸騰アジア】安全性能アピールの新型ソナタ、車重増加で燃費は伸びず

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新型 ヒュンダイ ソナタ
新型 ヒュンダイ ソナタ 全 8 枚 拡大写真

ヒュンダイが3月24日、ソウル江南のCOEXで新型『ソナタ』を発表した。4月16日にはニューヨークモーターショーでも公開され、米国では7月に販売開始される見通し。

新型ソナタでは、安全や走行面の性能向上が強くアピールされている一方、車重増加の影響で燃費は伸びておらず、バランスの悪さが浮かび上がる。

高張力鋼板の使用比率を5割に引き上げ

ソナタの全面改良は4年半ぶり。第7世代となる新型ソナタ(LF)の開発費は4500億ウォンで、第6世代(YF)と同額である。開発期間は3年間で、前世代と比べて約1年短縮された。

新型ソナタの外観は、「フルイディック・スカルプチャー2.0」と呼ばれるデザイン哲学に基づいており、前世代モデルから引き継いだ流線的なデザインが採用された。YFソナタでは“センセーショナル”なデザインが大きな話題となったが、新型LFでは“プレミアム”と“洗練”を意識したデザインとなっている。

パワートレインは、市場によって一部異なるが、米国では2.4リットル直噴または2.0リットル直噴ターボが搭載され、6速ATが組み合わせられる。このエンジンは2010年に搭載開始された4気筒ガソリンエンジン「シータ2(Theta II)」で、今回、新しい電子制御吸気連続可変バルブタイミング機構(E-CVVT)により低温時のパフォーマンスが改善された。

新型ソナタの売りのひとつが車体剛性の向上である。ねじり強度と曲げ強度はYFに比べてそれぞれ41%、35%強くなった。強度向上に貢献したのが高張力鋼板(AHSS)で、AHSSの使用比率は従来の21%から51%に大幅に引き上げられた。また、室内空間と荷室の広さがミッドサイズクラスでトップだ、と強調。加えて、サスペンションやステアリングの性能向上、アドバンスドスマートクルーズコントロール(ASCC)などの安全装備の充実を強くアピールしている。

燃費は0.2km/リットル増にとどまる

ヒュンダイは、LFソナタの開発に当たって、足回りなどの基本的な性能の向上を重視した。その結果、新型ソナタの車両重量は1460~1575kgとなり、軽量化が期待できる高張力鋼板の使用比率を30%高めたにも関わらず旧型ソナタより50kg以上増加した。また、燃費は12.1km/リットル(2.0リットルモデル)となった。車重が増加したため、旧型(11.9km/リットル)との比較で、僅か0.2km/リットルの改善にとどまっている。

米国市場では、最近の燃料価格の低下や景気改善により、燃費に対する意識が緩んでいる可能性がある。ヒュンダイは、燃費の重要性が相対的に低下している一方で走行性能や安全装備を重視する傾向が高まっている、と顧客ニーズを分析しているかもしれない。あるいは、2012年11月に発覚した燃費水増し表示問題の影響を考慮し、燃費を軸に製品力を訴求するのは得策でない、と考えているのかもしれない。

苦戦の可能性

新型ソナタの販売目標は2015年33.8万台で、内訳は韓国8.9万台、海外24.9万台となっている(中国市場分12万台を含まない)。海外24.9万台のうち22万台が米国になるとみられ、過去最高だった2012年の販売実績より1万台少ない数字が示された。強気とは言いがたい微妙な数字だ。

主戦場の米国では、トヨタが最量販セダン『カムリ』の大幅改良モデルを4月のニューヨークショーで発表しており、正面対決の構図が鮮明だ。最強のライバルが攻勢をかける中、ちぐはぐな車両性能の新型ソナタには厳しい競争が予想される。プレミアムイメージを志向するヒュンダイの主力モデルだが、価格競争力に頼る作戦を採るのだろうか。韓国では最低価格を195万ウォン引き上げたが、米国市場でも値上げできるのか、注目だ。

《レスポンス編集部》

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