ロードスター を投げ出さなかったマツダ、25周年をファンが祝福…4代目どうなる?

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マツダ ロードスターのファンイベント「軽井沢ミーティング2014」が25日開催された
マツダ ロードスターのファンイベント「軽井沢ミーティング2014」が25日開催された 全 12 枚 拡大写真

今年9月、マツダがオープンスポーツカー『ロードスター』を世に送り出してから満25年を迎える。5月25日に軽井沢で行われたファンイベント「ロードスター軽井沢ミーティング」の会場には、25周年ということもあってか、午前10時時点で同イベント新記録となる1200台ものロードスターが訪れ、初代、2代、現行の3代と色とりどりの新旧モデルが駐車場を埋め尽くした。

「我々は25年間ロードスターを作り続けてきました。しかしそれは単に自分たちの意思だけでできたことではない。オーナーの皆さんをはじめ、ロードスターを好きでいてくれるすべての人たちに支えられたからこそ、ここまで来れたのだと思います」

3代目に引き続き、来年デビュー予定の4代目の開発も指揮する山本修弘氏は、その圧巻の光景を前に、感慨深げに語った。

この25年、マツダの経営は常に“背水の陣”であった。初代「ユーノスロードスター」が誕生した89年はバブル景気の真っ最中であった。マツダも販売5チャンネル体制を敷くなどイケイケだったのだが、その後、バブル崩壊を機に過剰投資が重荷となって経営危機に陥り、米フォードの傘下に。08年にはバブル崩壊で再び経営危機に陥り、4年連続で赤字を計上。ここにきてモノづくり改革が実ってきたことと円高解消効果で、久しぶりに一息ついたという状況だ。

そのような苦境にあって、マツダは大量販売を見込めないオープンカーのロードスターを投げ出さなかった。トヨタ、ホンダなど大手メーカーが経営効率の向上を意識してスポーツカーを次々にディスコンしていくなか、現行の国産スポーツカーで途中で血統を切らすことなく作り続けられてきたモデルとしては、ロードスターは今や最長寿モデルである。

もちろんマツダも経営効率化は課題のひとつだ。ロードスターはビジネスの規模としては、マツダの中ではごく小さい。が、

「日本だけでなく、ロードスターは世界中にファンでいてくださる方々がいます。もちろん我々も営利企業ですから、利益がないとクルマは作れませんが、ロードスターはこのビジネス規模でもちゃんと利益が出ている。ファンを袖にして、ロードスターをやめましょうなんて言える人はマツダにはいないですよ」(山本氏)

スポーツカーはビジネス規模は小さい一方、ブランド力の押し上げ効果は大きい。が、熱烈なファンが多く、期待も大きいだけに、次世代のロードスター作りは難しい。

「軽井沢ミーティングの前夜祭でも、もし4代目が格好悪かったりしたら、次のファンミーティングは出入り禁止にしますなどと冗談交じりではありますが言われました。が、それは3代目が出る前にも言われたこと。現在開発中の次期ロードスターが世界のファンの皆さんに良いクルマだと思っていただける確証はありません。良いクルマかどうかは我々が決めることじゃないんです。ただ、我々開発陣の多くは自らがロードスターのユーザー、ファンでもありますし、お客様の思いも目いっぱい受け止めて作っている。今、唯一できること、すなわちできる限りのことを一生懸命やる、それだけなんです」(山本氏)

会場では次期ロードスターの骨格であるRWDのスカイアクティブシャーシもお披露目された。コンパクトなエンジンを縦置き。変速機とリアのデファレンシャルギアをメンバーで直結するという、歴代ロードスターのパッケージングを踏襲していることが見て取れる。会場に姿を見せた2代目、3代目モデルの開発責任者・貴島孝雄氏は、

「間違いなくこれまでのロードスターのDNAが受け継がれている。エンジンの重心も前輪軸よりかなり後方だ」

と、現開発陣の仕事に目を細めた。25年目も残り3か月あまりとなったが、ロードスターはこれからも歴史を積み重ねていく。果たしてその将来を占う4代目はどんなモデルになるのか。会場を埋めたファンたちは口々に噂をし合っていた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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