【人とくるまのテクノロジー14】高性能EV用カーボンシャーシが手作りできる時代到来か

自動車 ビジネス 企業動向
小高精密の組み立て式カーボンパーツを使った次世代EV用シャーシの製作例
小高精密の組み立て式カーボンパーツを使った次世代EV用シャーシの製作例 全 3 枚 拡大写真
人とくるまのテクノロジー展の会場内を歩いていたら、ちょっと変わった構造物に目が留まった。まるでホームセンターで販売されているパイプと継ぎ手を組み合わせて作る棚や枠で、小さなクルマのスペースフレームを作ったように見える。近づいてみると、やはりそれはスペースフレームのサンプルのようだ。

展示していたのは東京鋲兼のブース。こちらはネジなどのファスナー関連やダイキャストやプレス製品、それらを利用する工具や自動化の機械などを手がけるメーカーだ。そのグループ企業にカーボンファイバーの成型を手がける小高精密があり、カーボン製のパイプや射出成型の部品を作っている。このスペースフレームは、そんな同社の技術を活かして開発したパーツを組み合わせて作り上げたものらしい。

個々の部品としてはクルマ用の構造材としても十分な強度や剛性を確保していると言う。ただし、現在はパイプとジョイント部の締結は差し込んであるだけで、これに新開発のタッピングスクリュー「CFタイト」を組み合わせることにより、固定する考えだとか。CFタイトは下穴を開けてねじ込むだけで、CFRPが割れることなく締結できるで、鋼板などの金属やその他の樹脂など異素材との締結にも使えるそうだ。

しかし走行中の外力をこれで受け止めると応力が集中してしまうし、CFRPの長所である引っ張り強度の高さを活かしきれない。どちらかと言えば、ボディ外板などをCFRPのパイプに固定するためにCFタイトは向いていそうだ。

構造用接着剤などを使ってしっかりとジョイント部とパイプを接合するなど、結合方法が開発されれば、小型EVのシャーシ用に、この構造材は活用できそう。そうなればシャーシまでキット化したEVの出現も夢ではない。自宅のガレージでEVのカーボンシャーシ自作を楽しむ。そんな風景も想像してしまうほど、可能性を感じさせる材料だ。

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. セナのF1マシンにインスパイア、12台限りのロータス『エミーラ』が公開…IAAモビリティ2025
  2. 「本気の電動二輪が出てきた」ホンダ初のフルサイズEVバイク『WN7』発表にSNS沸く
  3. フェラーリ『849テスタロッサ』、日本初披露…価格は6465万円から
  4. 日産の新デザイン、『セントラ』新型を米国発表…「Vモーショングリル」に新解釈
  5. スバル『レガシィ』生産終了、米工場から最終モデルがラインオフ…36年の歴史に幕
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る