Google Glass はブレイクするのか?

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装着して街中を歩いても、すれ違う人の多くは違和感を感じなかったのか、視線を感じなかった
装着して街中を歩いても、すれ違う人の多くは違和感を感じなかったのか、視線を感じなかった 全 13 枚 拡大写真

 昨年あたりから、2014年は「ウェアラブル元年」になるというような話題が飛び交っているが、とくに注目されているのが米Googleが開発中の「Google Glass」の動向だ。米Googleでは、Google Glassの早期導入プログラム「Explorer Program」に参加するベータテスター「Glass Explorer」のみに提供し、ベータテスターからのフィードバックを収集しながらGoogle Glassのバージョンアップを施したり、開発者による専用アプリの企画などが進行している状況にある。

【画像全13枚】

 そんな中で、ベータテスター「Glass Explorer」の拡大を図り、より多くのフィードバックを得ることを目的として、4月15日の1日限りでGoogle Glassを一般販売した。数量限定で、18歳以上の米国在住者のみ購入可能というものだったが、RBB TODAY編集部では米国在住の関係者を通じて限定販売であったGoogle Glassを購入することができ、これを日本に持ち帰ることができた。販売価格は1,500ドル。(のちに、同様に米国在住者限定だが、5月13日から在庫限りの条件で再販されている)

 この希少なGoogle Glassを編集部からお借りすることができた。借り受けたGoogle Glassは、Explorer Editionで型式はXE-C。じつはこのモデルは今年4月10日付けで一般社団法人電気通信端末機器検査協会(JATE)の技術基準適合認定を通過している。しかしながら、まだ国内では技術基準適合証明がないため、日本では合法的に利用できない状況にある。いわゆる「技適問題」で、現状ではGoogle Glassは違法無線局に該当し、これを国内で使用すると「免許を受けずに無線局を開設若しくは運用した場合」に該当し、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。この法律自体には今後様々な課題が出てくるものと考える(たとえば日本の技適を受けていないPC等を訪日外国人がWiFiフリースポットで利用する場合などもこれに該当)。こうした事情も考慮し、今回は韓国に渡航し、現地でGoogle Glassをレビューしてきた(韓国の電波関連法も調べたが韓国では例外規定があり違法にはならない)。

 Google Glassという新しいウェアラブルデバイスに大きな期待を寄せる一方で、こうした電波法の問題や、つねにカメラを身につけて利用することなど、今後社会において様々な議論も浮上しそうなデバイスである。本連載では今後数回に渡って、Google Glassのレビュー、筆者の視点からのGoogle Glassの成否の可能性、Google Glassが発売されることによる新たな社会の課題などを論じて行きたいと思う。

 今回はGoogle Glassの「開封の儀」と題して、Google Glassの基本機能を説明したい。

■立派な箱を開けるとそこにGoogle Glassが鎮座

 今回お借りしたGoogle Glassは、1,500ドル。渡航費も含めれば相当な価格である。その箱のふたを持ち上げると、パラフィン紙の内側にGoogle Glassが鎮座しているのが見える。興奮しながらパラフィン紙を剥がして行くと、中仕切りの上にさるげなくGoogle Glassが乗せられている。ついに本物のGoogle Glassに触れる感激の瞬間だ。(画像01)

 Google Glassの各部の説明がGoogle Glassが載せられている箱の中仕切りに書いてある(画像02)。各部をクローズアップしていくと、レンズおよびカメラ部分のすぐ後ろの柄の上にCaptureというボタンが供えられている。これはカメラ機能のシャッターボタンとしての機能を果たす。後述するが、Google Glassは音声やウィンクなどのアクションで静止画や動画を撮影することができるが、とっさに何かのシーンを記録したければ、このCaptureボタンをブッシュすればすぐに撮影ができてしまう。(画像03)

もう少し耳に近いところに電源ボタンがある。その間に「Touch」という文字が見えるが、Google Glassの本体ともいうべき柄の太く長い部分がタッチパッドになっており、ここを指でなぞることで操作ができるようになっている。操作は極めてシンプルで、指でかるくたたけば「OK」、指で上から下になぞれば「キャンセル」「クリア」という操作になり、また指でタッチパッド部分を前後になぞることでメニューを左右に操作できる。

 さらに耳に掛ける部分の後ろ側が膨らんでいるが、この部分の重みでGoogle Glassの掛け心地のバランスを取っているようだ。この耳掛けの後ろ部分に骨伝導スピーカーが仕込まれ、喧噪の中でも音を聞き取ることができる(画像04)。なお、ベータテスターからの意見で骨伝導スピーカーだけでは不満という声も多かったらしく、このモデルではMicro USBに接続できる専用モノラルイヤホンも付属している(画像05)。

■ディスプレイに投影される自然な表示に驚く

 Google Glassは視界の前方に約25インチ相当のスクリーンが投影されるというコンセプトのようだが、自分の視界の中に自然にデジタルな情報が投影されるように見える。断面約1cm四方程度のプリズムの中にハーフミラーが埋め込まれており、Google Glass本体から照射された映像が視界に表示される。アームの角度は微調整でき、人によって異なる見え方に合わせられるようになっている。表示される映像は周囲の明るさに対して自動的に調整されているのだろう。暗い屋内でも、逆に晴天の屋外でも、必要な情報がしっかり読み取れた。

 Google Glassの掛け方にもよるが、本来の生活活動上の視界をさえぎることなく、必要なときに視界の中にデジタル情報を提示してくれる、そんなデバイスだ。これまでも多数のヘッドマウント型ディスプレイを試してきたが、これほど装着に違和感が無く、また自然な形で空間に情報が表示されるデバイスはGoogle Glassが唯一だろう。また、Google Glass自体のデザインがおしゃれとまでは言えないにしても、周囲の人たちに違和感を持たせないスタイルに仕上がっていることは特筆すべき点だ。

 これまでに市販されているヘッドマウント型ディスプレイは、それ自体が異様さをかもし出す形状だったり、少なくとも「何か特別なモノ」を装着している雰囲気にならざるを得なかった。それらを装着して歩いていると、必ずすれ違う人たちの視線を感じざるを得なかった。しかしながら、Google Glassを装着して街中を歩いてみると、驚いたことにすれ違う大半の人たちはGoogle Glassを装着していることに気づくことなく、したがって視線を感じることなく過ごすことができた。

 Google Glass正面にはカメラが装着されており、スペック表によれば500万画素、動画は720pに対応となっている。カメラはかなり広角で撮影できる印象である。

 Google Glass自体は、Wi-FiとBluetoothによる通信機能が備えられているが、モバイルネットワークの通信機能は無い。あくまでスマートフォンとペアリングさせ、必要なときに最適な通知やメッセージが表示されたり、Google Glassに装着されたカメラやセンサー類から情報を取得し、スマートフォンを通じてクラウドに情報を収集するツールである。また、骨伝導スピーカーとマイクも装着されているので、Bluetoothヘッドセット代わりに、スマートフォンを通じた音声通話をハンズフリーで行うこともできる。わが国ではあまりBluetoothヘッドセットを使うユーザーを見かけないが、Google GlassはともすればBluetoothヘッドセットがさらに多機能に発展したものと考えてもよさそうだ。

■Google Glassの基本機能

 早速、Google Glassを使ってみたい。Google Glassはスマートフォンとの連携が必須となる。スマートフォンには、Googleが提供している「MyGlass」アプリをインストールする。Android版とiOS版が米国ユーザー向けに提供されている。米国ユーザー向けというのは、GoogleアカウントあるいはApple IDの住居地設定を米国に変更しなおさなければダウンロードできない。筆者の場合、Androidでは居住地設定をうまく変更できなかったため、米国に居住地変更ができたApple IDを使って、iPhoneにインストールした「MyGlass」アプリと連携させてGoogle Glassを使用した。

 ペアリングは簡単で、MyGlassアプリを起動し、チュートリアルに従って操作していくだけでよい。QRコードが表示されるのでこれをGoogle Glassで読み取るとBluetoothのペアリングが完了する。一度設定しておけば、あとはスマートフォン(ここではiPhone)とGoogle Glassが常時Bluetoothで接続され、テザリング機能を通じてGoogle Glassがクラウドにアクセスし、ユーザーに必要な情報が表示されるようになる。Google Glassとペアリング中は、iPhoneの場合常時テザリングでインターネットに接続された状態になる。Google Glass自体は操作時以外はすぐにスリープ状態なるようだが、スマートフォンのほうは電池の消耗がやや気になるところだ。実際に終日こうした状態で使ってみたが、スマートフォンおよびGoogle Glassともフル充電状態で朝10時にホテルを出発し、街中で情報表示させたり撮影などを繰り返していると、17時ごろには、スマートフォン、Google Glassともに電池容量低下のアラートが出た。使い方にもよるが、電池消費の問題は今後の課題であろう。(画像06)(画像07)(画像08)

 実際のGoogle Glassのディスプレイに表示された投影画面を何とかカメラに収めたかったのだが、残念ながら筆者の腕ではどうにも手に負えなかった。どのようなイメージで視界にGoogle Glassの映像が映るかはGoogleやExplorer ProgramのユーザーがイメージVTRを公開しているのでそれらを参照していただくとして、じつはMyGlassアプリでは実際にGoogle Glassに投影されている画面をスマートフォン上にも表示させる機能があるのでこれをキャプチャしたスクリーンショットを元に、Google Glassでできることを説明していきたい。

 まず、Google Glassがアクティブな状態になると、時間表示と“ok glass”というデフォルトの画面が表示される(画像09)。Google Glassは顔から外すとスリープになり、掛けるとスリープが解除され、この時計画面が表示される。また掛けている状態でスリープしていても、サイドのタッチパッドをワンタップするか、顔を軽く上げるとスリープが解除され時計画面表示になる。ディスプレイ下部にある“ok glass”というのは音声コマンドを表す。つまりこの状態で“ok glass”と発音すれば、Google Glassを触らなくとも次のアクションに移すことができる。わが国では人前で音声を使ってコマンド入力するようなシチュエーションは流行らなさそうだが、声を出したくなければサイドのタッチパッドをワンタップすることでその操作に代えることができる。

 さっそく“ok glass”と命令すると、次の音声コマンドを求める画面が表示される(画像10)。たとえばここでさらに“take a picture”と発声すれば、Google Glassが直ちに静止画撮影してくれる。画面下にはまた“ok glass”が表示されているが、つまり"ok glass"と発声することで、撮影した静止画を次にどうしたいのかというメニューに進むことができる。たとえば「share」と発声すると、facebookやtwitterに撮影した画像を直ちにアップロードできる。メールで送信することも可能だ。筆者は主にfacebookを活用しているが、画像の公開範囲も自分だけ(only Me)、友達(Friends)、公開(Public)などと音声で指示が可能だ(画像11)。もちろん、音声で操作するのが気になれば、タッチパッドをタップしたりスライドタッチすることで、同様な操作に代えられる。

 そのほかのGoogle Glassにデフォルトで搭載されている機能としては、ユーザーのGoogleアカウントに紐付けられたメールやカレンダーなどの各種情報閲覧である。新着メールがあるとアラームと共に新着メールのタイトルと本文の一部、送信者情報が表示される。Google+でつながっているユーザーからのメールでは、相手の顔写真も表示される。

 筆者もGmailを愛用しているが、Google Glassに表示されるのは重要度の高そうなメールに絞り込んでいるようだ。スパムメールはもとより、メールマガジンなども排除し、重要そうな用件で送られてきたメールが選定され表示される。カレンダーの閲覧も同様に、当日のスケジュール一覧が時系列に表示される。メールやカレンダーの内容をより詳細を閲覧したければ、Google Glassのサイドをタップすると次の階層に進み中身を確認できる。本来、米国でのみ発売されたものであるが、表示だけは日本語を含め各国の言語でメール内容等の表示が可能であった。

 簡単に前述したが、Google Glassには音声通話時のハンドセット代わりにもなる。ペアリングさせているスマートフォンに着信があると、Google Glassに“Incoming”が表示されると共に、着信アラームが聞こえてくる。着信中に“ok glass”と “answer call”または“decline call”という選択肢が表示され、“answer call”と発声すればそのままハンズフリーで通話に入れる。これは非常に便利だ。逆にスマートフォンから発信する場合も、どの手段で通話するかのメニューにGoogle Glassが表示されるので、これをタップすればGoogle Glassを通じて通話することができるのだ。(画像12)

 次回はGoogle Glassがどのようなシーンで活用されていくのか、今後のアプリケーション活用の展望も交えながら、Google Glassが果たしてブレイクするのかどうかを考えていきたい。

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第48回 Google Glass はブレイクするのか? Part1「開封の儀」

《木暮祐一@RBB TODAY》

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