【日産 スカイライン 200GT-t 発表】メルセデス Eクラス との違いは…先行試乗を終えて

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日産 スカイライン 200GT-t
日産 スカイライン 200GT-t 全 14 枚 拡大写真

うーん、ややこしい。先行するハイブリッドモデルに追加する形で投入された純粋ガソリンエンジン搭載の『スカイライン』。しかしそのエンジン、実は『メルセデス』から供給されるダウンサイズターボユニットである。

発表会に登壇した西川CCOは、スカイラインという名に学生時代ときめいたものだと述懐する。しかし今は、それがインフィニティのエンブレムを装備する。同じく登壇した片桐副社長は、それをミニマムで年間5000台売りたいと語った。だが、先代は2.5リットルV6エンジンを搭載したモデルでも、ベースグレードは300万円を切る290万円ほどで購入できた。ところが、新しいメルセデス製4気筒ターボエンジン搭載のベースグレードは383万4000円。消費税込みとはいえ、ずいぶん高くなったなぁ…という印象はぬぐえない。

それにしても今回の発表会、珍しいことずくめだった。通常発表会といえば、日産の場合は横浜のグローバル本社で行われるのが通例。それが今回は寒風吹きすさぶ、追浜の日産本社工場敷地内で開催された。最大の理由はミニとはいえ、試乗会を同時開催したことで、これも異例中の異例。

そんなわけで、ジョン川平氏の司会進行で始まった発表会に続いて、かつての日産テストコースの一部を使ったミニ試乗会が開催されたのである。チェックポイントは2点あった。(コースが短いのでそれくらいしかチェックできない)。最大にして最も注目すべきはメルセデスから供給されるエンジンのフィーリングである。もっともエンジンだけを味わいたいのなら、現行『メルセデスベンツE250』を試乗すればよい。なぜなら、今回供給されたエンジンは、基本的にこれと同じだからである。てっきり新型『Cクラス』と同じ新しいブルーテックユニットと期待していただけに少々がっかりだったが、考えてみればこれはまだメルセデスとしても市場に出していない。

そしてもう一つのチェックポイントはステアリングである。ハイブリッド車には話題になったダイレクト・アダプティブ・ステアリングが装備されていたが、今回それはなく電動油圧ポンプによる、ごく普通のパワーステアリングに変更されているからだ。もっとも好評だからというわけで、秋にはオプション設定されるという。

E250用と基本的に同じとはいえ、全く同じわけではない。たとえばトルク。メルセデスの場合最大トルク350Nmを1200rpm~4000rpmの範囲で発生させるが、スカイラインの場合は1250rpm~3500rpmと若干ながら発生範囲が狭い。ピーク値はパワー、トルクともに同じだ。室内に乗り込んでエンジンをかけてみると、やはり静粛性は極めて高い。テストコースとはいえ、それなりにNVHを試す路面を走らせてくれたので、比較的一般度を再現できたと思うが、まずパワーの出方はターボながら非常にスムーズだ。高回転まで回すシチュエーションがなかったので、トップエンドのフィールについてはわからないが、常用域での感触は非常に良い。4気筒とはいえ、最早パフォーマンスで6気筒に見劣りすることは全くなくなって、その分燃費が良くなるからユーザーにとっては決してネガな要素はない。

もう一つのチェックポイントであるステアリングだが、バンピーなところでステアリングポストに振動がくるかといえば、それは全くなく敢えてダイレクト・アダプティブ・ステアリングを装備する必要性は感じられなかった。いずれナンバーが付いた暁には、一般公道で試してみたいと思う。

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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