自動車部品サプライヤーの大手、TRWは、レーダーとモノラルカメラによる運転支援技術を開発。ドイツで4日に行なわれた試乗会では、現在開発中の「ESA(緊急時ステアリング支援)」システムを世界初公開。そしてその核となるパワーステアリングにもTRW独自の工夫が施されていた。
一般的なパワーステアリングは、油圧によるアシストだが、TRWは電気モーターによるアシスト。そして同社の電気式パワーステアリングは、「コラム式(ステアリングコラムの後ろにアシストモーターを配置する)」、「ラックアンドピニオン式(ラックの外径に、芯がないコアレスモーターを配し、ラックを直接駆動)」の2種類があるが、現在はベルトドライブ式(ラックとモーターをベルトでつなぎ、駆動する)も開発中。今回のESAには、ベルトドライブ式が用いられている。そしてこの方式の利点を、ディベロップ・マネージャーの竹村龍一氏はこう話す。
「従来のラックアンドピニオンではコアレスモーターの存在によるスペースが課題でした。しかし、ベルトドライブはまずスペースの問題を解決。モーター自体もコラム式ものを転用できるなど汎用性を生み、コストも優れています。そして何より駆動音を低減できるのも大きなメリットです。それから、エンジンルーム内にモーターを配置するため、冷却も気になりますが、モーター自体は常時稼働し続ける訳ではないので問題はありません」
TRWは、エアバッグ、ブレーキ、パワーステアリングなど自動車の見えない部分のさまざまな分野を自社開発で手がけ、同時に電子化を進める。「ESAはレーダーとモノラルカメラの性能向上はもちろん、パワーステアリング技術があるからこそ実現できたものです。運転支援技術はさまざまなメーカーが開発しておりますが、あらゆる分野を手がけているが故に自社開発ができるのはTRWだけで、強みでもあります。さまざまな部分の電子化を進めることで、システムの統括制御、やがては完全自動運転が可能になります」と竹村氏は締めくくった。