ヤマハ発動機は8日、10月31日から一般公開される「ジャパンモビリティショー2025」に「感じて動きだす」をテーマとするブースを出展すると発表した。
【画像】ヤマハ発動機の「ジャパンモビリティショー2025」出展車両
「人と機械による乗り物の未来を感じる」を出展コンセプトに、世界初披露のワールドプレミア6機種を含む研究開発中のプロトモデル、電動モーターサイクルシリーズ、eバイク(電動アシスト自転車)や電動車椅子のコンセプトモデルなど、計16モデルを展示する。
◆AI技術で自ら成長するモビリティ『MOTOROiD:Λ』

注目の展示物として、AI技術によって学習し、自ら成長するモビリティ『MOTOROiD:Λ(モトロイド ラムダ)』を世界初公開。2017年には自立してライダーに歩み寄る実験機「MOTOROiD」、2023年にはヒトとマシンが呼応し合う「MOTOROiD2」を発表していたが、ラムダではAI技術である強化学習を用いて仮想環境で学習することで、複雑な環境の中でも柔軟に適応。Sim2Real技術により現実世界での動作を実現する。180度に展開した姿勢から、自らの判断で各部モーターを適切に駆動して車体を起き上がらせ、倒れることなく自立することが可能だ。
有機的な動作や、万が一の際の衝撃を想定した耐久性と軽量化重視の外骨格デザインにも注目だ。ヤマハは「『モビリティ×強化学習による運動制御』という未開拓の領域に踏み込み、二輪の世界を刷新し、まったく新しい未来を創る実験機」だと説明する。会場では人が乗らずに自立する様子を、デモンストレーションで見ることができるという。
◆後輪も自分で操舵する3輪オープンEV『TRICERA proto』

新たなドライビングプレジャーを提案する3輪パッケージのフルオープンEV『TRICERA proto(トライセラプロト)』にも注目だ。2023年に公開されたコンセプトモデルの進化版にあたり、実際に走ることができるモデルとなっている。前2輪だけでなく後輪も操舵することが可能で、感性に訴える刺激的な旋回性能と、新感覚の操縦感を併せ持つ。後輪の操舵は前輪に追従したオートのほか、ステアリングに備わるパドルシフトによるマニュアル操舵もできる。前輪と後輪を別々に操作するという新体験によって「意のままに操るための習熟プロセスさえ楽しい3輪手動操舵(3WS)」と説明する。
走行音をチューニング&調律するサウンドデバイス「αlive AD」を搭載し、操縦に没入するドライバーの高揚感を増幅。3輪構造を際立たせたセンターフレームによるアーチ型シルエットに加え、人間空間と機能空間の対置表現により「人間中心の独創的なデザイン」を実現した。
◆大型二輪クラスのBEV『PROTO BEV』

二輪では、大型バッテリーを搭載する大型二輪クラスのBEV『PROTO BEV(プロト バッテリー イーブイ)』も世界初公開。「大型バッテリーEVならではのFUN」を体現する実走可能なプロトモデルで、「FUNの最大化」を目的に軽量化とコンパクト化を追求し、新感覚の乗り味と扱いやすさを兼ね備えたスーパースポーツEVとして開発された。
従来の内燃機関モデルで培った優れた操縦安定性に、バッテリーEVの魅力であるリニアなスロットルレスポンスと力強くスムーズな加速性能を融合。クラッチ操作が必要なく、右手は前輪ブレーキ、左手は後輪ブレーキとし操作系をライダーの手元に集約したことで、より感覚的なライディングを可能とする。
車両の状態をライダーに伝えるメータービジュアライザーやサウンドなど、スポーツ走行に集中できる各種のHMI(ヒューマン‐マシン・インターフェイス)を実装している。
◆水素エンジンを搭載する『H2 Buddy Porter Concept』

水素エンジンを搭載した二輪車の社会実装をめざした『H2 Buddy Porter Concept(エイチツー バディ ポーター コンセプト)』を参考出品。カーボンニュートラルの実現に向け多様な選択肢の一つとしてトヨタ自動車と共同開発中のコンセプトモデルで、二輪車への搭載に適した小型の高圧水素タンクをトヨタが新規開発、ヤマハは主に水素エンジンや車体等を開発した。
商用利用を想定したカーゴタイプのスクーターで、大容量のボックスの底面に小型の高圧水素タンク4本が装着されている。
水素満タン時の航続距離は実測で100km以上。また、既存法規を参考に公道走行に関わる技術要件を織り込み、NOxを含むEuro5排ガス規制にも対応済みとなっている。
◆eバイクコンセプト『Y-00B:Base』と『Y-00B:Bricolage』

多様なモビリティを開発・販売するヤマハだが、eバイク(電動アシスト自転車)でも世界初公開モデルが。「自分らしさを自由に表現できる、新しいスタイルのeバイクコンセプトモデル」として、『Y-00B:Base』と『Y-00B:Bricolage』の2台をお披露目する。
スリムでミニマルなデュアルツインフレームに、小型で一体感のあるバッテリーとドライブユニットを搭載。高い拡張性とカスタマイズ性を備え、オーナーのライフスタイルや感性に寄り添いながら、共に成長する“愛車”を提案する。付属のUSB-PDコンバーターにより、外出先でも手軽に充電が可能。スリムなバッテリーながら行動範囲を自由に拡げることができる。
「Y-00B:Bricolage」は、「Y-00B:Base」のカスタマイズモデルで、ヤマハ発動機の創立70周年を記念し、ヤマハ第1号の製品となる『YA-1』(1955年)へのオマージュとして、クラシックなデザインとYA-1を思わせるカラーリングを現代的にアップデートして採用、唯一無二のスタイルを体現している。
◆「初音ミク」がエバンジェリストに、新技術、新製品も続々


このほかにも、シリーズ・パラレル・ハイブリッド(SPHEV)を搭載した普通二輪クラスのスクーター『PROTO HEV』や、プラグインハイブリッド(PHEV)を搭載した大型二輪クラスのスポーツバイク『PROTO PHEV』、3輪電動車椅子のコンセプト『NACTUS VS TRE-X』、「旅する車椅子」をコンセプトとする電動車椅子『ONE-MAX Urban / Historical』や、市販予定車のレトロスクーター『Fazzio(ファツィオ)』などもブースに並ぶ。
さらに前回に引き続き、同じ「ヤマハ」ブランドである楽器・音響のヤマハ株式会社とのコラボレーションも。ボーカロイドの「初音ミク」がヤマハブースのエバンジェリスト(伝道者)を務めるほか、電子楽器等の展示・演奏に加え、同社の立体音響技術を活かしたダイナミックなステージ演出を実施する。
またヤマハブース以外にも、「ジャパンモビリティショー2025」の企画展示「Tokyo Future Tour 2035」では小型電動四輪モビリティ『DIAPASON(ディアパソン)』や水素エンジン搭載ゴルフカー『DRIVE H2』などの最新技術展示や、「モビリティカルチャーエリア」では往年の『YZR500(0W76)』『JOG(CE50E)』も展示される予定だ。
