オートレース、競技車両に求められる高度なEVマシンのスペック

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
オートレース専用エンジンAR600を搭載した競技車両
オートレース専用エンジンAR600を搭載した競技車両 全 1 枚 拡大写真

オートレースの競技車両をエンジンバイクからEVバイクにする。そこには、世界でもまれにみる高いスペックが求められていることがわかった。

公益財団法人JKAと一般財団法人オートレース振興協会が示した電動競技車両設計仕様書によると、基本はAR600型のエンジンを搭載した現行車両と同じ性能を保つことだ。それが簡単ではない。

AR600のエンジン性能は、最高出力60馬力(44.1kw)、最大トルク60.8N・m(6.2kgf・m)。この状態を10秒間保ち、1レースで10回繰り返せることのほかに、次のようなことが要求される。

・1周500mのラップタイムは16~17秒
・最高速度は150km/h
・100km/h~150km/hの中間加速時間は約4.5秒

もちろんこれだけの性能を保つEVバイクは市販されていないが、競技車両はこれをクリアしてなお、航続距離を稼がなければならない。

オートレースは6周を標準とする。中には8周、10周のレースがある。出走前には試走が3周分あるため、選手にストレスを与えることなく約10kmはレース走行できるEVマシンでなければ、シリーズ化は難しい。

さらに、EVバイクではエンジンバイクでは忘れているような雨天時の感電防止対策が重要になる。高出力のマシンが出走するマン島TTレースでも、EVマシンが競うゼロ・チャレンジクラスだけは雨天順延となる。これは感電防止のためだ。しかし、公営競技で雨天中止はあり得ない。

高い耐久性も必要だ。仕様書にはモーターの耐久性をこう定めている。「選手が引退するまで、平均5万kmの使用に耐えること。バッテリーは4年間の充放電で500サイクルの寿命が望ましい」

オートレースのEV化は、まさにそれ自体が前人未到の記録への挑戦だった。

《中島みなみ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 狭い道! 制限1.7mでコンクリートブロック付き、道幅は5mあるけど?…東京都板橋区
  2. ニックネームは“赤いコスモ”、50年前に登場した2代目ロータリースポーツ【懐かしのカーカタログ】
  3. 【レンジローバー ヴェラール 新型試乗】ああ、紛うことなくレンジローバーだ…島崎七生人
  4. ダンロップのオールシーズンタイヤが安く買えるようになる?…独占禁止法の疑い
  5. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る