【メルセデスベンツ A45 AMG 試乗】万人ウケはしない、“好き者”向けの個性を感じる…河村康彦
試乗記
輸入車

が、そのブランドの末っ子ポジションに加えられたこのモデルは、どうやらそうした流儀には則っていないようだ。
ちょっとばかり”着色”が過ぎるのでは? とも思える派手な排気サウンドから連想をされるよりも、実はエンジンは低回転域から扱い易い。ベースユニットに対して圧縮比を大きく落としてまで、180ps/リットルという「クラス最強のパワー」を獲得しながらも、同時に2000rpmを割り込んでもアクセルONと共に実感を出来る太いトルクを両立させたあたりはなかなか見事だ。
しかし、4WDシステムと共に採用されたシャシーのセッティングは、とことんスパルタンな仕上がり。そこでは、テスト車が強化型の”パフォーマンス・サスペンション”をオプション装着していた影響も多分にありそうではあるが、路面状況にかかわらず「ハードそのもの」と実感するそのフットワークは、ひと昔前のいわゆる”ホットハッチ”を彷彿とさせるテイストでもあるのに驚いた。
なるほど、サーキットやワインディングロードを「その気」になって走っているうちは良いだろう。が、長時間のハイウェイクルージングはちょっと勘弁して欲しいかな、というのが本心になる。
確かに加速は凄まじく、「ちょっと飛ばす」程度までならば4WDならではの安心感もある。
けれども、そのブランドイメージからどんなシーンでもフラット感に富んだ快適な乗り味を期待すると、それは完全に裏切られてしまう…そうした意味では、昨今珍しい”人を選ぶメルセデス”と評しても良さそうなのが、A45 AMGというモデルなのだ。
■5つ星評価
●パッケージング:★★★
●インテリア/居住性:★★★★
●パワーソース:★★★
●フットワーク:★★
●オススメ度:★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ『ケイマンS』、スマート『フォーツー』、そしてVW『ルポGTI』(ただしドイツ置き去り)。
《河村康彦》