【BASFカラートレンド14】アジア・パシフィックのテーマは愛すべきアイデンティティ

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“愛すべき新しいアイデンティティ”
“愛すべき新しいアイデンティティ” 全 8 枚 拡大写真

BASFが毎年発表している2、3年先のカラートレンド。今年のテーマは“UNDER THE RADAR(まだ見えないシグナル)”だ。このグローバルのテーマをもとに、世界共通のカラートレンドと、アジア・パシフィック、欧州、北米それぞれのカラートレンドを予測している

アジア・パシフィックの今年のテーマは、“愛すべき新しいアイデンティティ”だ。「個人により深くフォーカスしたテーマだ。新興国では、自己のルーツを見直したり、自分の国が従来持っている文化の魅力を見直す傾向が若い世代に見られ始めた。」と話すのは、BASFジャパン機能性材料統括本部コーティングス事業部カラーデザインセンターの松原千春さん。

カラーにおいても、「これまで中国ではブラックが一番人気だったが、市場の成熟が始まりつつあり、他の人と一緒ではなく、自分だけのカラー、自分らしさを表現するという方向に、若い世代から価値観が動き始めた。そこで、鮮やかなカラーでわかりやすく個性が表現でき、色を選ぶ楽さが一つのトレンドにある」。この傾向は自動車だけではない。「若者が買う自転車でも、この傾向はとても顕著に表れており、前後の車輪の色を変えるくらい、かなり奇抜なカラーコーディネートをしている」という。

その一方、「経済がスローダウンしてきたり、良い大学を出ても、思ったような就職先がないなど、難しい状況がある。そこで、若い人たちも内面を見つめなおしたり、欧米のトレンドに追従するのではなく、自分たちが持っている今までの良いライフスタイルの形を現代に取り入れて、見直すような傾向にある。そういったアイデンティティ、ルーツ、自分の内面の感情を見直すような意味での個性、新しいアイデンティティといったところでは、少し曖昧さのあるカラーを提案している」と説明。

具体的には、「一見ただのグレーに見えても、シェードではウォーム系の温かみがあるなど、ひとひねり効いたテクスチャがあるカラーなど、曖昧さを表現するような、人間の感情と同じように、きちんと言い切れないものを表現している」と話す。

ヨーロッパは、“卓越した品質研究”というテーマで、「高級感、価値観はとても洗練されて来ており、クオリティ、質感、美しさはかなり高次元のところで作り込まれている。そこで、今後はこの高次元で作り込まれたものをカスタマイズしていく、そういう価値観が重要になるのではないかというテーマだ」と松原さん。

「カラーもかなり落ち着いて、渋めなところがメインになっている。グレイッシュなカラーでも、近くで見るとものすごく強い輝きがあり、複雑な立体感を表現している」と述べる。

北米の“意義深い密接な絆”というテーマは、「少しレトロ風のカラー、可愛らしいカラーなど、これまで北米では見られなかったカラーが多い。これは、リラックスしながら、人々がポジティブな方向で、楽観的に正しい方向でアメリカが徐々に復活してきていることが、色に表現されているのだ」とし、「勢いのある色ではなく、中間色でパステル調のような、これまで北米ではあまり見られなかった、心地よい感じの色がメインで出ている」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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