スバル レヴォーグ、満タン無給油でどこまで行ける? アイサイト ver.3 で長距離検証

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スバル レヴォーグ 満タン無給油でどこまで行ける? 東京を出発し、アイサイトver.3の前車追従クルーズコントロールを使い、ひたすら西をめざした
スバル レヴォーグ 満タン無給油でどこまで行ける? 東京を出発し、アイサイトver.3の前車追従クルーズコントロールを使い、ひたすら西をめざした 全 33 枚 拡大写真

今年6月に発売されたスバルの新ミドルクラスステーションワゴン『レヴォーグ』。新開発の水平対向1.6リットル直噴ダウンサイジングターボと第3世代に進化したステレオカメラ式の先進運転支援システム「アイサイト ver.3」の2つの新技術が注目を浴びている。そこでそのアイサイトを使いつつ、ガソリン満タン状態から無給油でどこまでクルーズできるかチャレンジした。

今回チャレンジをおこなう車両は「レヴォーグ 1.6GT アイサイト」だ。「BLUE BOXER」をうたい、170psのターボ車でありながらJC08モード燃費は17.4km/リットル。60リットルのガソリンタンク容量で、はたしてどこまで走ることができるか。

◆進化した「前車追従クルーズコントロール」まかせでドライブ

『レガシィ』に搭載された第2世代ユニットで大いに注目を浴びたアイサイト。動物が両眼でモノを立体視するように、2個のカメラで風景をとらえ、道路状況を判断するという基本原理は変わらないが、アイサイト ver.3はカメラがカラー化され、またより遠くまで認識可能となるなど“視力”が向上。車線の維持をアシストするレーンキープアシスト機能や誤発進抑制機能も新たに加わった。

東京・葛飾を出発後、首都高速から東名高速へと向かった。そのドライブ序盤で早くも強く実感されたのは、認識精度が著しく進歩したことと、前車追従クルーズコントロール制御がきわめて自然になったこと。

たとえば他車の動きを見きわめる性能。ゆうに100m以上離れたところに遅いトラックがいても、素早く速度差を検出して急ブレーキにならないよう、距離的に余裕のあるところから減速する。ドライバーとしては、離れているのに減速が始まると速度差があるとすぐに察知できるので、追い越し車線に移動しようかなと、早めに対処できるのだ。

反対に、速いクルマに抜かれた後に追い越し車線に出たとき、車間がやや短くてもブレーキがかからない。先行車のほうがスピードが速いということを高精度に検出するためだ。ドライブ中、相手の速度をアイサイトが見誤って運転者が操作介入しなければならないシーンは一度もなかった。

◆満タン無給油でどこまでいけるか、スバル レヴォーグ 1.6リットルターボ

名古屋手前から伊勢湾岸道、新名神に入ると交通量がぐっと減り、快適なクルーズとなった。設定速度は基本的に100km/hだが、もちろん他車に合わせて減速することもある。

面白かったのはその後の再加速。新名神には比較的急な坂も散在しているが、そういうときに一気に速度を回復させるのではなく、運転スキルの高いドライバーのように燃料消費とのバランスを取りながら加速するのだ。一般にクルーズコントロールは、設定から外れた後に一気に元通りに回復させようとするため、ドライバー自らクルーズさせるのに比べて燃費が悪くなりがちだが、アイサイトは機械任せにして走っても燃費良く走ることができた。平均燃費計の数値は新東名ネオパーサ静岡では1リットルあたり15.4kmであったが、伊勢湾岸道長島パーキングエリアでは同15.9kmへと伸び、その後も一貫して上昇基調だった。

夕刻、大阪を過ぎて中国自動車道に入る直前、渋滞に巻き込まれた。ここではアイサイト ver.2時代から引き継がれた得意技の渋滞追尾機能が大いに役に立った。停止、発進だけでなく、10km/h程度の流れに合わせた微速前進もスムーズそのもの。渋滞を抜けて山陽自動車道に入った時には、トリップメーターも600kmを超え、ガソリン残量も半分を切った。が、まだまだマイレージは延ばせる。

そのまま一気に広島まで走り切ったところで、いよいよガソリン補給アラートが点灯。いつでも給油できるよう、そこから一般道に回って、しばらく西へ。山口の県境を越え、大正ロマンを思わせる素敵な駅舎の西岩国駅まで達したところで走行距離は900.5km、今回の旅のゴールとした。アイサイトにほぼ任せっきり、100km/h巡航で、満タン無給油900km、東京から山口までを走りきった。平均燃費計の数値は16.7km/リットルだった。

◆ロングツアラーとしてキラリと光るレヴォーグの実力

レヴォーグは操縦安定性の高いフルタイムAWD(四輪駆動)であることに加え、シート設計、サスペンションセッティングなどが良好で、900km一気乗りというドライブも大した疲れを覚えることなくこなすことができた。アイサイト3の運転支援機能の高さとエコラン性能は、そのレヴォーグのロングツアラーの個性をさらに際立たせるのに十分以上の資質を持っていると思われた。

また、参考までに山口・下関からの帰路にアイサイト3のステアリングスイッチを積極的に操作し、ドライバーの感覚を少し加味してやったところ、さらに燃費は向上。平均燃費計の数値は1リットルあたり17.9kmで、無給油でのマイレージは1000kmを超えた。ドライバーがひと手間を加えることでさらにドライブの質を上げることを楽しむ余地もあるのだ。

レヴォーグ+アイサイト ver.3は日常の移動手段だけでなく、遠乗りを積極的に楽しむ際も、高い満足度を得られるパッケージと言ってよさそうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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