スイス、レーティッシュ鉄道で列車脱線…地滑りに巻き込まれる

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スイス・レーティッシュ鉄道で8月13日、列車が地滑りに巻き込まれ脱線、11人が負傷した。同鉄道は風景の美しさで人気が高い(写真はレーティッシュ鉄道のイメージ)
スイス・レーティッシュ鉄道で8月13日、列車が地滑りに巻き込まれ脱線、11人が負傷した。同鉄道は風景の美しさで人気が高い(写真はレーティッシュ鉄道のイメージ) 全 2 枚 拡大写真

スイス南東部グラウビュンデン州で8月13日12時半後(日本時間19時半頃)、レーティッシュ鉄道アルブラ線の列車が地滑りに巻き込まれ3両が脱線、うち1両が線路から谷へ約10m転落した。同鉄道や現地警察の発表によると、日本人を含む11人が負傷した。

現地報道や発表によると、脱線した列車はサンモリッツ発クール行きのRE(快速)1136列車。ティーフェンカステル駅を出発後、次の駅へ向かう途中のトンネルに挟まれた区間で地滑りに巻き込まれた。列車は機関車1両と客車7両の編成で、機関車の後ろに連結されていた客車3両が脱線、一番前の1等車が谷へ約10m転落したが、斜面の木に引っかかる形で止まった。

列車には事故当時約140人の乗客が乗っており、うち5人が重傷、6人が軽傷を負った。消防隊員や警察など約180人が救助にあたり、現場付近は山間部のため、負傷者はヘリで救出された。

現地警察の発表によると、グラウビュンデン州では7月の降雨量が例年よりも多く、ここ数週間も雨が続き地盤が緩んでいたという。現地報道では、事故の際の状況について、先頭の機関車が倒木を発見して急ブレーキをかけたところ、地滑りが発生して客車が巻き込まれたとの情報もある。

鉄道側は、州の災害対策当局と連携し、過去に災害が発生した箇所のリストを作成して警戒を行うなど、自然災害への対策は十分講じてきたと強調。今回の事故発生箇所については、過去に災害が発生したことがなく、災害発生リスクを示す地図にも掲載されていない箇所だとしている。

レーティッシュ鉄道は大半を州と国が出資する鉄道会社。同州内に約384km・103駅の路線網を持つ。MGB(マッターホルン・ゴッタルド鉄道)に乗り入れてサン・モリッツからマッターホルン山麓のリゾート地、ツェルマットまでを結ぶ有名な観光列車『氷河急行』や、サン・モリッツとイタリアのティラノを結ぶ『ベルニナ急行』が走ることで知られ、日本の箱根登山鉄道と姉妹鉄道提携を結んでいる。アルブラ線とベルニナ線は世界遺産にも登録されている。

現場付近の路線は運休となっており、脱線した車両の撤去作業や線路の復旧作業が進められているが、再開は早くても16日(現地時間)となる見込みで、現在はバスによる代行輸送が行われている。現場の路線は『氷河急行』の通る区間だが、同列車は他の路線(フェライナ・トンネル)を経由して運行を継続している。

スイスの山岳鉄道では、2010年7月に『氷河急行』が脱線転覆し、日本人観光客1人が死亡する事故が発生したが、同事故が発生したのはMGB線内で、今回の事故路線とは異なる。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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