【フィアット パンダ 試乗】突っ込みどころあるも、ロングドライブ向きの楽しいクルマ…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
フィアット・パンダ
フィアット・パンダ 全 20 枚 拡大写真

全長3655mmと、軽自動車+30cmものさし一本弱という『パンダ』は、どう見ても街乗り向きである。

【画像全20枚】

ただ、イタリアのバカンスではパンダに5人が乗り、空気の入るスペースはあるのかというほど車内に荷物を載せ(一度、前後座席の左右の人の頭のあいだに、大きな巻物があるのを見たことがある)、さらに屋根の上に積載違反じゃないのかというくらい荷物をくくりつけている。ひょっとして、ロングドライブも得意なのか、パンダ?

改めてパンダ、長距離検証である。長距離に備えてドラポジを見直すと、ハンドルが遠い。フィアットもアルファロメオも、手の長いイタリア人基準のせいか、ハンドル位置は遠めで脚に合わせるとハンドルの細かな操作がやりにくい。でも、右ハンドルへと構造を変えても、足元のセンター部分をえぐって、左足の置き場所を確保しているのはありがたい。これで体が安定して、長距離走行はぐっと楽になる。

長距離対策のドリンク類置き場は、ドアの内側と運転席と助手席のあいだにホルダーがいくつも用意されている。よしよしと思いつつペットボトルを差し込むと…入らない。日本のバリエーションあふれる500mlペットボトルでは径が足らず受け入れてくれなかったり、高さが足りなかったりと、いまひとつ使えない。検証の結果、ドアの内側のボトル位置に入ったのは、350mlのエビ〇ンだけだった。

しかし、ここでイタリア人の気の利かなさに文句を言っている場合ではない。安全面でいけば、日本のコンパクトカーを凌駕する勢いなのだ。後部座席はヘッドレストと3点式シートベルトが3人分ちゃんと備わっているし、後部座席でシートベルトをしたかどうかがわかる注意ランプもインパネに表示される。しかも、後部座席で勝手にベルトをはずせば、ピピピと音まで出る仕組みだ。「高速道路は全者シートベルト」とする日本において心強い装備といえる。

そして肝心の乗り心地。なんたってターボがついているとはいえ875ccエンジンである。長距離疲労への不安がないといえば嘘になろう。しかしながら、これがまったくもってよく走る。1速~2速とシフトアップのときに息継ぎをするデュアロジック・ミッションだが、逆に高速域にもっていってしまえば関係ない。流れに乗ったら気持ちよく速度をキープする。それどころか、適度に「いい加減」で「よい加減」にしなるサスペンションが、ホイールベースの短さではねるところをうまくコントロールし、気持ちをハイにしてくれる。結果として疲労感が少なく、降りたときに気分高揚なのである。

細かな部分は突っ込みどころがあるけれど、そんなところが逆にパンダの魅力。ロングドライブはクルマと過ごす時間が長くなる。楽しいという気持ちが湧き立つクルマは、ロングドライブ向きなのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 150万DLでも終了へ…パイオニア「COCCHi」が約3年で幕を閉じる本当の背景
  2. 次期スズキ『ソリオ』は“走り”で逆襲! 新世代HEV採用で2027年以降登場か?
  3. ドア&エアコン付きゴルフカート、国内初の100台規模導入…アコーディア・ゴルフとPGM
  4. 【マツダ CX-80 900km試乗】人馬一体と重厚感は両立するのか?「高級SUV」としての使命とは[後編]
  5. 『RAV4』60系専用「LED増設ラゲッジランプ」発売、無段階調光&メモリ機能も搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 自動運転開発の分野で高まるNVIDIAとAWSの存在感、日本メーカーは中国のスピード感に対抗できるのか【AWS オートモーティブ AI イノベーション フォーラム】
  2. KYB、パワースポーツ車両向けEPSを米ポラリス社のオフロードビークルに展開
  3. 電動車は誰が最後まで面倒を見るのか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]
  4. 中国サプライヤーが日本市場へ本格攻勢、“長期戦略”と“チャイナスピード”両立する「DESAY SV」次の一手とは
  5. トヨタ・モビリティ基金、欧州水素地域イニシアチブ始動…最大5地域を支援
ランキングをもっと見る