【モスクワ現地レポート】変わらぬ平和な日常があった…日本人にも好意的

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モスクワ市街
モスクワ市街 全 8 枚 拡大写真

かねてからのウクライナ情勢に関連して、日露関係にも暗雲が立ち込めている。

現地時間8月22日には、ロシア外務省から複数の日本人に対してビザ発給停止という形での入国制限が発表されるなど、事態はより深刻な方向へと進んでいる。そのような状況の中、当編集部ではモスクワ現地取材を敢行。今しか見られないモスクワを見た。

アブダビ経由で入国へ

急遽決定した取材のため、アエロフロートによる直行便ではなく、エティハド航空によるアブダビ経由での入国となった。成田を出発した時点では、アブダビを経由してヨーロッパ各国へと旅立つ日本人の姿が多く見られたが、アブダビーモスクワ便になると日本人は当編集部の一行だけとなった。モスクワへと向かう200名ほどの乗客のうち、ロシア人と見られるスラブ系がおよそ6割、アラブ系がおよそ3割、残りは中国人とみられるアジア系だった。成田からアブダビまで約10時間、5時間のトランジットをはさみ、さらに5時間のフライトを経てモスクワのドモジェドヴォ空港へと降り立った。

「魔法のパスポート」は未だ健在?

編集部が日本人の入国制限が決定したという情報を手に入れたのは、成田を発つ直前だった。報道関係者という立場もあり、入国ができないという万が一の事態も想定したが、まったくの杞憂に終わった。入国審査の場では、日本に関係することはおろか、「入国の目的は?」や「何日間滞在するのか?」などという、お決まりの質問すらされることはなかった。ただ、パスポートとビザを確認するだけで全員が無事に入国を果たした。海外における日本のパスポート、すなわち日本人であることは、絶大な信頼感を持っていると言われることがあるが、このような時勢であってもまだ「魔法のパスポート」は健在なのだろうか。

到着した午後2時の時点では、モスクワの空は晴れ渡っており、20度という気温も手伝って非常に快適な気候という印象だ。モスクワ近郊にはドモジェドヴォ空港のほか、シェレメーチエヴォ国際空港、ヴヌコーヴォ国際空港と、計3つの国際空港が置かれているが、ドモジェドヴォ空港はその中でも最も中核的な空港だ。ただ、空港周辺は目下再開発を進めているといった様子で、同じBRICsであるブラジルや中国と似た雰囲気を醸し出していた。

空港から市街地へは、鉄道やタクシーなどいくつかの交通機関があるが、今回はタクシーを選択した。モスクワのタクシーは、いわゆる「白タク」が多く、ロシア語による値段交渉が必要になるため、旅行者や短期出張者が使うにはハードルが高いと、日系企業の現地駐在員より事前に聞いていた。しかし、空港で捕まえたタクシーは英語も通じる上、しっかりとした料金メーターを備えていた。ドモジェドヴォ空港からモスクワ市内のホテルまで3500ルーブル(約1万円)、所要時間は1時間ほどだった。

「何も変わらない平和な日常がある」

モスクワ市内に駐在している日系の自動車関連企業関係者は、最近のモスクワについて「何も変わらない平和な日常がある」と語ってくれた。日本の本社より安否確認や現地情勢についての問い合わせが入ったり、帰還命令が出たりといったこともないという。当編集部員も、ホテルのチェックインやレストランなどで日本人であることを明かす場面が何度かあったが、特に不便を被ることはなかった。「モスクワの人々はみな日本人のことを好意的に思っている」と上述の自動車関連企業関係者は言う。政治的な関係と実際の国民感情が比例しないことは往々にしてあるが、それが日本人の一方的な思い上がりでないことを願いたい。

《瓜生洋明》

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