【スバル WRX S4/STI 新型発売】スバルが目指す走りとは…サーキットインプレッション

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スバル WRX STI
スバル WRX STI 全 16 枚 拡大写真

新たなモデルを設定することで新規ユーザー獲得を狙う

2014年8月25日、スバルの新型『WRX』が日本において発表・発売となった。新型WRXは、従来の『インプレッサ』の派生グレードのひとつというポジションではなく、独立した車種となっている。その上で、従来からある「WRX STI」に加え、「WRX S4」を追加。2モデル構成の「WRXシリーズ」として発売される。

2モデルの違いは、パワートレインだ。WRX STIはEJ20の2リッター水平対向4気筒ターボ・エンジン(最高出力227kW<308馬力>/最大トルク422Nm)に6速MT、電子制御&機械式LSDをセンターに備えたDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWDを搭載。

そして、WRX S4は、新世代のFA20型の2リッター水平対向4気筒直噴ターボ・エンジン(最高出力221kW<300馬力>/最大トルク400Nm)にCVTのスポーツリニアトロニック、VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)という内容となる。つまりWRX STIは旧型モデルのパワートレインを踏襲し、WRX S4は『レヴォーグ』と同じ新しいパワートレインを採用しているのだ。ちなみに、衝突被害軽減自動ブレーキのアイサイトVer.3はWRX S4のみの搭載となる。

2モデル体制としたのは、従来からあるWRX STIのファンだけでなく、新たなユーザー獲得を狙ったものだ。WRX S4は、トランスミッションをCVTとし、アイサイトVer.3も採用し、価格もWRX STIより40~50万円ほど安価に設定。スポーツモデルならではの敷居の高さを解消する工夫が施されている。また、今回は、従来にあったハッチバックの設定がなくなったこともあり、その代わりとなる新規ユーザー獲得の工夫もマストとされていたという。

◆パワートレインは旧来のままにシャシー性能を大幅に高めた

新型WRXの走りは、大幅に強化されたボディ剛性が、その土台となる。一般的な量販Cセグメントカーであるインプレッサとプラットフォームは共用するものの別モデルとなったため、思い切ったボディ補強が可能となった。その結果、ねじり剛性でいえば、先代のWRX STI』より40%以上向上。曲げ剛性も30%以上向上。シャシーのフロントトレッド剛性は14%、リヤトレッド剛性も38%も高められている。

その上でハンドリング性能を高めるために「俊敏なステアリングレスポンス」「高いリヤグリップ性能」「操縦安定性の高めるフラットライド」をテーマに開発が進められた。

実際にサーキットで新型を走らせてみれば、その狙いがしっかりと現実のものとなっていることが分かる。身のこなしは俊敏で軽快。しかも、リヤグリップの限界が高いため、高速コーナーでの安定感は抜群。オーバーステアによるスピン! という怖さがこれほど少ないクルマもないだろう。コーナリングでフラットな姿勢を保とうというクルマの特徴も安心度を高める。そして優れたトラクション性能を備えるため加速時も不安がほとんどない。約300馬力ものパワーを、意のままに操り、サーキットを攻めることができた。

ちなみに、2ペダルのWRX S4は、サーキットではなく、敷地内の連絡道路が試乗のメイン舞台となった。ゆったりと走らせれば、普通のセダンそのもの。扱いに気難しさはない。それでもスラロームを試せば、300馬力&AWDによるダッシュ力は強烈であり、さらにオーバースピード気味でもステアリングを切った方向にグイグイとノーズを向ける。アクセルレスポンスも良好でCVTのネガもほとんど感じなかった。走りの面でいえばWRX STIが一段落上だろうが、WRX S4でも、十分にスポーツカーらしさを味わうことができたのだ。

新型WRXの走りは、「安心と愉しさ」が両立するものであった。スバルの走りのイメージを牽引するのがWRXの役割。つまり、このWRXの走りこそ、スバルの理想とするものではないだろうか。

《鈴木ケンイチ》

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