三菱マテリアル、リチウムイオン電池の電解液を再資源化する処理技術を開発

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三菱マテリアル、リチウムイオン電池の電解液を再資源化する技術を開発
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三菱マテリアルは、リチウムイオン電池(LiB)の電解液に含まれるフッ素化合物、有機溶剤について、安全、低環境負荷で再資源化を可能とする新しい処理技術を開発したと発表した。

現在、LiBはパソコンや携帯電話向けなどに小型のものが主に使用されているが、今後普及が大きく進むと見込まれるハイブリッド車や電気自動車用には、大型のLiBが搭載されている。これら車載用LiBは、寿命を迎える2020年以降、大量に廃棄されることが予想されており、環境保護・資源有効活用のためには、従来以上に低環境負荷で効率的なリサイクル技術が求められている。

LiBは、主に正極材と負極材、絶縁体、電解液の4つの主要部材で構成する。これら部材のうち、電解液はヘキサフルオロリン酸リチウム(フッ素化合物)と数種類の引火性有機溶剤で構成される混合液体で、電解液の廃棄処分では、400~1200度で高温分解する処理方法が一般的。しかし、この方法では、電解液中のフッ素化合物が分解することで有毒なフッ化水素ガスが大量に発生するため、フッ化水素ガスの複雑な処理が必要となる。

また、処理過程ではフッ素が有効利用されずに、最終的に排水汚泥として処分されるため、環境負荷も高い。

今回、同社が開発した処理技術は、100~200度の低温で電解液を気化させ、フッ素化合物と有機溶剤を同時に回収するもの。電解液中のフッ素化合物は、加水分解などを経てフッ化カルシウム粉末として回収する。この技術で回収したフッ化カルシウムは、純度が高いため、半導体や液晶パネル製造など幅広い産業分野で使用されるフッ素化成品を製造するための原料として再利用することが可能。

一方、引火性有機溶剤は、気化後に冷却し液体として回収する。電解液を高温で加熱しないため、引火性有機溶剤は化学的に変化せず、補助燃料としてボイラーなどで再利用が可能。

今回開発したリサイクル技術は、省エネルギーで低環境負荷な上、電解液を低温で処理できることから、回収・再資源化作業の安全性も向上する。

同社グループでは、さまざまな排水や排ガス処理で発生したフッ化カルシウムのフッ素リサイクル事業に取り組んでいる。今回の技術を幅広く応用するため、電解液やその他の難処理廃液についても今後、実証研究を進める予定。

《レスポンス編集部》

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