【ピレリ アイス・アシンメトリコ 発売】ニュージランドの雪上で、新スタッドレスを試す…インフォメーション性の高さは随一

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ピレリ アイス・アシンメトリコ 試走会(ニュージランド)
ピレリ アイス・アシンメトリコ 試走会(ニュージランド) 全 20 枚 拡大写真

ピレリから新型スタッドレスタイヤ『アイス・アシンメトリコ』が発売された。コンパクトカー、ミディアム、ハイ・インターミディエイトカー、SUV向けで、ドライビングの正確性、氷雪路面における安全性の強化を高めている。

ピレリでは、アジア、オセアニア向けのスタッドレスタイヤと謳っており、ピレリの中国工場で生産される。アジア・オセアニア向けとは言っているが、もっともスタッドレスタイヤの市場が熟成している日本の厳しいニーズに対応した製品となっており、性能的には日本向けスタッドレスタイヤそのものと考えていい。

トレッドデザインは、太い3本の溝を基調にした非対称デザイン(アシンメトリック・デザイン)で、氷雪路でのグリップ性能はもちろん、操縦性、コントロール性を考慮したデザインとなっている。

氷雪性能も重視されている。ブロックが接地した状態で接地面圧が均一になるよう設計された「ソフトコアブロック」や、ブロックのサイプ(極細溝)には、氷上での柔軟性とエッジ効果を生み出しながら、大きな力がかかった時には支えあって高いブロック剛性を発揮する「3Dバタフライサイプ」、走行シーンに応じて接地形状が最適化するよう作られたサイドウオール形状=「エヴォキャビティ」などの技術が盛り込まれている。また、ゴムコンパウンドには、極低温時でもゴムが柔軟性を失わないよう、レジンという樹脂系素材とシリカを配合して新たに開発された「デュラ・フレキシコンパウンド」を搭載している。

興味深いのは、2013-2014年シーズンに日本市場で205/55R16サイズのアイス・アシンメトリコをテスト的に販売し、市場での反応や評価を調査している点。それだけ日本における評価を重視しているということだ。また、その評価もポジティブなものだったという。

そのアイス・アシンメトリコの試乗会がニュージーランドで行われたので報告したいと思う。

試乗会では、氷盤路での加減速テスト、圧雪路でのスラローム及び8字旋回、ハンドリングコース試乗を行うことができた。大雑把な印象としてまずいえるのは、コントロール性がよかったこと。これはインフォメーション性と背中合わせの性能で、路面の様子をきちんと伝えてくれるインフォメーション性がいいからこそコントロールがしやすいということでもあり、そのあたりの「感」性能の仕上がりの良さが印象的だった。

例えば氷盤路での加減速で言うと、トラクションコントロールやABSが効きだす寸前の感触がつかみやすかった。またアクセルやブレーキ操作を行うことで、氷の路面なので自由自在とまではいかないまでも、かなりの確度でコントロールできた。
もちろんブレーキ性能もよく、減速感を伴った安心感のあるブレーキ性能が得られた。

圧雪路でのスラロームでは、握りこぶし一個分くらいまでのハンドルの効きがしっかりしており、きちんとクルマの向きが変わってくれる。さらに深く、意図的にハンドルを切りすぎた状態にしても、グリップ感が抜けにくい(曲がる力は落ちてくるが)。コントロール性とはちょっと違うが、懐の深さも備えている。逆に、リヤタイヤが滑ってしまうような場面では、滑り出しのタイミングが予想しやすく、また滑り出しの動きも比較的穏やかなので、コントロール性はかなり高い。スラロームで軽いリヤのスライドを伴いながらパイロンをクリアしていくといった場面でも、アクセルの開度で、スライドの量が面白いようにコントロールできる。スライドしながらトラクションが抜けないので、アクセルによる姿勢コントロールがやりやすいのだ。

もう少し現実的な性能で見てみると、圧雪路では縦溝のエッジ成分とタイヤショルダーのエッジが雪面を捉えて、カーブで踏ん張りを効かせてくれる。そしてそろそろ滑りそうとか、まだ大丈夫といった感触がかなりはっきりと伝わってくるので安心感がある。

圧雪路、凍結路、ウエット路面、ドライ路面と様々な路面が目まぐるしく顔を出す冬道で、走りやすいスタッドレスタイヤに仕上がっていると感じた。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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