【インタビュー】「ジャガーが嫌いだという人を見たことがない」…ジャガー・ジャパン マグナス・ハンソン社長

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ジャガー・ジャパン マグナス・ハンソン代表取締役社長
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日本におけるジャガーは苦境に立たされている。2002年の5238台ををピークに、販売台数は右肩下がりで2013年にはついに1000台を割った。一方、2013年の世界新車販売台数は2005年に次ぐ7万6668台を記録するなど、グローバルではかつての勢いを取り戻しつつある。

日本におけるジャガーブランド再建を託されて1年。ジャガー・ランドローバー・ジャパン代表取締役社長のマグナス・ハンソン氏に話を聞いた。

----:日本法人の社長に就任してからおよそ1年、日本におけるジャガーブランドはどのように変化をしたか。

ハンソン社長:ブランドに対するイメージが非常に変わってきていると感じています。もちろん、ジャガーそのものは変わっていません。しかし、その伝統の中にあった「スポーツカーブランド」であるという点や「興味・好奇心をそそるものである」という点がより強調されてきたように思います。スポーツカーでは『Fタイプ』が、そして、これから登場する『XE』などが、人々の関心を集めるという意味では非常にうまくいっていると考えています。例えばSNSなどを通して、ジャガーというブランドが世間の皆様から大変注目をして頂いているということを肌身で感じています。

----:ジャガーブランドにとって、日本市場はどのような特徴を持っていると考えているか。

ハンソン社長:(ジャガーに限らず)一般的な視点から言えば、輸入車市場が小さいのが特徴だと思います。さらに、ブランドやイメージを重視する傾向があります。その上で、品質や価格、カスタマーサービスに対しても高いクオリティが求められる市場だととらえています。

ジャガーについて言えば、日本のお客様はジャガーというブランドに非常に好意を持ってくれていると思います。実際、私は今までジャガーが嫌いだと言う人を見たことがありません。その一方で、ここ10~20年程の日本におけるジャガーの取り組みの結果、ジャガーはお客さまにとって「関係のないブランド」となってしまったのではないかと思っています。「手の届かないブランド」というイメージが強くなってしまったのではないでしょうか。

現在のエントリーモデルである『XF』は、30年ほど前であったらプレミアムセグメントとしてはちょうどよいサイズだったのかもしれません。しかし、その後各高級車ブランドがより小さなセグメントに注力した結果、ジャガーはお客様の選択肢に入らなくなってしまったのだと思います。そういったイメージを変化させることでジャガーをより身近なブランドとしてとらえて頂けるようにする、それを今後は追求していきたいと思っています。

まずはFタイプによってスポーツカーブランドとしてのイメージを取り戻し、次にXEによってより身近な手の届くブランドであることを周知、さらにパワートレインを拡充させることでブランドの価値を高めていくということを考えています。

そして、今はまだ詳しくお伝えできる段階にないのですが、今後さらなるモデルの投入によって、ジャガーというブランドが、お客様にとって「関係のあるブランド」だと思って頂けるようにしたいと考えています。

----:ジャガーのディーラーネットワークはここ数年で縮小傾向にある一方で、競合となる輸入ブランド各社は拡大路線にあるが。

ハンソン社長:まず、なぜわれわれがディーラーネットワークを縮小することになったのかという点について説明しなければなりません。歴史的にジャガーとランドローバーは異なる販売網を持っていましたので、(店舗数の減少は)それらを統合した結果ということでもあります。

また、ディーラーネットワークの構造が30年前や40年前とは変わってきています。現在では、ブランドを築いていくことが最優先であり、その上で販売を行うということが定石ですが、以前はディーラーネットワークそのものの力で販売をしていました。

「ディーラーを拡大していくのか」という質問に対する回答はもちろん「イエス」です。しかし、しかし、より重要なのは数を増やすことではなく、ブランドビジネスができるような質の高いディーラーを増やしていくことだと考えています。

----:量販モデルであるXEが日本市場へと投入されるが、ジャガーブランド全体としての販売台数増加のために今後どのような施策を考えているか。

今後の戦略については簡単に説明することができます。ジャガーは非常にポテンシャルのあるブランドですので、それを上手に活用して伸ばしていくということです。XEをはじめ、新規投入されるモデルによって顧客層が変化し、それが販売台数の増加へとつながっていくことは確実だと信じています。

一方で、われわれはとても厳しいチャレンジをしていくことになるとも思っています。けれども、販売台数の面でメルセデス・ベンツやBMW、アウディといった独ブランドと伍していくというような野望は抱いていません。むしろ、そういった独ブランドの顧客層に対してはっきりとした新しい選択肢を提示していくことが、ジャガーというブランドがある意味だと思っています。

《瓜生洋明》

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