【MINI ハッチバック 5ドア 試乗】3ドアよりミニらしい、活発さと併せ持つ“落ち着き”…丸山誠

試乗記 輸入車
MINI ハッチバック 5ドア
MINI ハッチバック 5ドア 全 28 枚 拡大写真

ついに『MINI』に5ドアが追加設定された。現行型になっても3ドアのみで、これまでファミリーなどドア数が欲しいユーザーは、観音開きのドアを採用するワゴンタイプの『クラブマン』を選ぶことが多かった。SUVタイプの『クロスオーバー』も設定されているが本来の“ミニ”を欲しいユーザーにとっては、少しボディサイズが大きい。5ドアは、まさにミニファン待望のモデルなのだ。

5ドアは、今年3月フルチェンジを受けたばかりの3ドアをベースにホイールベースを70mm延長している。サイドから見てもミニらしいスタイリングが見事に表現されていて、リヤドアを追加したことを意識させない。これはリヤゲートのデザインに秘密が隠されている。3ドアよりリヤガラスをやや傾斜させることでルーフを短く見せているため、ミニらしく見えるわけだ。もちろんリヤパンパーなどもデザイン変更されているが、コンビランプなどのデザインの雰囲気は3ドアと同様のものに仕上げられている。

当然だがルーフも延長しているため、ルーフのデザインも微妙に異なっていて、3ドアの全高が1430mmなのに対し、5ドアは1445mmと15mm高い。リヤドアを開け、スムーズにリヤシートに座ることができるのがミニにとっては新鮮だ。ミニクラブマンは観音開きのため、乗り降りがややしにくかったが、やはり5ドアは乗降が大幅に楽になっている。リヤドアが短いため開口部がそれほど大きくなく、足抜き性もサイドシルが高いためあまりよくないが、チャイルドシートに子供を乗せるというユーザーにとってはうれしいはず。

着座すると広くなった足元が印象的だ。カップルディスタンスは50mm増えただけだが、かなり広くなった。70mmのホイールベース延長分の残り20mmは荷室の拡大に当てられている。

5ドアのみに装備されるユニークなものが、リヤシートバックを垂直まで立てて荷室を拡大するためのステー。シートバック固定部に付けられたステーを起こしてからシートを固定することで、荷室を広く使えるようになる。また、5ドアの最もうれしい点は乗車定員が5人ということ。3ドアは4人乗りだったため、いざというときに5人が乗れるというのはやはり便利だ。ただしシートスペースが狭いためロングドライブでの5人乗りはかなりきつい。それとシートバックが意外に立ち気味のため、リラックスしたポジションが得られないのが残念な点で、もう2度くらい寝かせるリクライニング調整が欲しいところだ。

パワーユニットは3ドアのクーパーとクーパーSとまったく同じで、クーパーが1.5リットル直3でクーパーSが2リットル直4で組み合わされるトランスミッションは6ATのみ。3ドアには5MTが用意されるが、5ドアは今のところ設定がない。車両重量は3ドアと比べるとクーパーが60kg、クーパーSが50kg重くなっているが、動力性能的にはまったく重量増を感じさせない。ともにターボのためトルクが太く50kgから60kgの重量増は無視できるレベルといっていい。5ドアでもミニらしい活発な動力性能は確保されている。

好印象だったのは5ドアのほうがクルマの動きに落ち着き感があること。3ドアは俊敏さを強調している感じだが、5ドアはホイールベースを延長したためナチュラルな雰囲気になっている。雨の都内での試乗だったこととワインディングロードを走っていないため確定はできないが、5ドアでもクーパーらしいスポーティ感は得られるはず。それとクーパーの1.5リットル直3エンジンのアイドリング時の振動が3ドアよりも小さくなっていたのもいい。エンジンマウントなどに変更はないというから個体差かもしれないが、生産過程でブラッシュアップされている可能性もある。

5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

丸山 誠(まるやま まこと)AJAJ会員
モータージャーナリスト。自動車専門誌編集部に在籍後、モータージャーナリストとして活動。自動車専門誌や一般誌などで試乗インプレッションや新車解説を執筆。燃料電池車など環境関連の取材活動も行っている。また、キャンピングカーやキャンピングトレーラーの試乗、解説も行っている。

《丸山 誠》

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