【GARMIN nuvi 3595 インプレ前編】ナビがスマホに近づいたら何が起きるか

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GARMIN nuvi 3595
GARMIN nuvi 3595 全 16 枚 拡大写真

いまだ根強い需要のあるポータブルカーナビ。数多くのモデルをこのジャンルに投入してきたGARMINから、PND(ポータブルナビ)「nuvi(ヌヴィ)」シリーズに新たなコンセプトのモデルが発売された。本機のトピックはAndroid OS採用を大々的に謳っている点。Androidによってどんな機能が実現できるのか、実際に使用してみた。

◆外観はこれまでどおりのnuviシリーズ

GARMINのnuviシリーズといえば、独特のUIで愛用者のハートをガッチリ掴んでいる個性派のカーナビだ。ゴリラシリーズという鉄壁の人気モデルがある日本ではトップといえる人気を獲得したことはなかったが、常に一定の人気をキープしてきた。そして、世界的にはGARMINのnuviといえば押しも押されもせぬトップブランドであり、世界中で人気を博す定番シリーズだ。

そのnuviシリーズの最新モデル『nuvi 3595』は「Android機能」という新たな付加価値を搭載したという。このAndroid機能という言葉に違和感を覚える人も多いと思うが、そこに迫る前に、まず外観からチェックしていこう。

本機は5インチのディスプレイを搭載したメモリータイプのポータブルナビ。本体寸法は横幅137mm、高さ86mm、厚みが17mmとなっており、ポータブルナビとしては一般的か、あるいはややコンパクトな部類といえるだろう。このコンパクトボディに2時間駆動のバッテリーやワンセグチューナーを搭載。本体背面には室内でテレビを視聴しやすいよう、本体を斜めに立てる収納式スタンドも備える。

その外観は従来のnuviシリーズ同様、シンプルに徹したもの。グレイのベゼルにディスプレイを囲む黒い枠があるが、nuviシリーズを見慣れてきた人ならこれだけで「今度のモデルはデザインに凝ったな」と思ってしまうかもしれない。それほどnuviシリーズはシンプルデザインを貫いており、もちろん本機も一般的な基準でいえばこれ以上ないほどシンプルだ。

本機は日本の準天頂衛星みちびきに対応した高精度のGPSエンジンを内蔵し、Bluetoothによるハンズフリーホン機能やmicroSDカードスロットも備える。また地図データとして分かりやすさ、見やすさに定評のあるマップル(昭文社)のデータを収録。2014年度の最新データを使用しているだけでなく、地図更新3年間無料サービス(3年で2回)が付属する。この辺りのスペックは近年のnuviシリーズに共通のものといえるだろう。

◆nuviアプリがプリインストールされたAndroid端末?

さっそく、クルマに取り付けて使ってみる。最初に「これは?」と思ったのが起動の早さ。クルマのキーをONにすると瞬時に使える状態になる。従来のnuviシリーズはややタイムラグがあったので、出発前に車内で目的地設定をしたいときなど、じれったく感じたものだが改善されている。

次にメニュー画面を操作してみる。見慣れたいつものnuviシリーズのメニュー画面なのだが、Googleのアイコンや検索窓が追加されている。画面の下には黒いステータスバーのようなものもある。これはなんだろうといじっているうちに、メニュー画面が消えてしまった。これにはちょっと驚いたが、なんの事はない、画面全体が横にスワイプできるようになっていただけだった。

ここまでくれば誰の目にも明らかだが、本機は紛れもなくAndroid端末だ。「Android機能を搭載」しているのではなく、Androidの上でnuviアプリが(もちろんそういう名称が付いているわけではないが)動いているのだ。ハードウエアとしては、ディスプレイの小さなAndroidタブレットと表現して大きな間違いはない。起動が速いのはAndroid端末らしく、スリープ機能をサポートしているためだ。

そこで、今回はカーナビとして使用してみる前に、いったん室内に持ち込んで電源を入れ、その「Androidっぽさ」をチェックしてみた。電源を入れるとまずロック画面が表示される。アイコンをスワイプして解除すると、見慣れたnuviシリーズのメニュー画面が表示される。車載状態では電源が入るとロック画面無しでいきなり元の状態に復帰したが、どうやら付属のカーアダプターで給電しているときはロック画面が省略されるようだ。これは賢い仕様だといえる。

メニュー画面には前述のとおり、Google検索窓、と言うよりウェジェットがあり、「戻る」、「ホーム」、「最近使ったアプリ」の3つのボタンが表示されたナビゲーションバーがある。このバーは右半分はステータスバーとして機能するようになっているようだ。画面を横にスワイプしてみると、5ページ分のページを移動できた。つまり、見慣れたメニュー画面に見えるのは、Androidのホーム画面であり、見た目のデザインが同じになるるようにアイコンやウェジェットが配置されているのだ。

さらにしばらく操作してみて、いくつかのことがわかった。まず、nuviシリーズのメニュー画面に似せてあるホーム画面は、初期状態からアイコンを追加したり削除することはできない。もちろん、これは5ページあるホーム画面の1ページだけで、ほかの4ページは様々なアプリを貼り付けることが可能。本機にはGoogleマップやYouTubeはもちろん、FacebookやLINEなどの定番アプリもプリインストールされている。

また、先ほど便宜的に「nuviアプリ」と表記したnuviシリーズとしての機能は、「GARMIN」という名前のアプリが担っているようだ。なぜそれが分かるかというと、「最近使ったアプリ」リストに「GARMIN」として表示されるからだ。もちろん、ここから終了させることもできるし、設定の「アプリケーション」にもアプリのひとつとしてリストに入っている。特別扱いされず、あくまで普通のアプリとしてAndroidから認識されているようだ。

◆使い心地は紛れも無くnuviシリーズそのもの

改めて車両に取り付け、カーナビとして使ってみた。最初に注目したいのは、その使い心地だ。一般に、専用機が汎用機になると動作が重くなったり、安定性、操作性が低下してしまう場合がある。実際にはどうか。

まず動作の重さについては、全く問題ないどころか、むしろこれまでのモデルより軽快に動作するように感じられた。搭載されているCPUは公開されていないようだが、処理能力は従来モデルより格段にパワーアップしていると思われる。操作に対するレスポンスが軽快だし、数百キロ先の目的地を指定してもルート検索がほぼ瞬時に完了する。

安定性については、数週間の使用で確たる評価はできないものの、少なくとも使用中にアプリが落ちるとか固まるといったトラブルはなかった。とりあえず心配する必要はなさそうだ。一方、操作性についてはこれまでと少し違いがある。地図画面では数秒間操作をしないと画面下部のバーが隠れて地図の表示面積が広くなる仕様なのだが、これが問題。この状態から操作するには、まず画面のどこかをタップしてバーが表示された状態にしてから、本来の操作をする必要があるのだ。つまり、どんな操作でも必ず画面を2回以上タップしなければならない。これは少し不便、というかじれったい思いをさせられた。

それ以外は、従来のnuviシリーズと全く同じ使い心地だといっていい。シンプルかつ分かりやすい地図に、白い矢印で曲がる方向が表示される独特のスタイルは健在。曲がるポイントでは自動的に画面がズームするのもこれまで通りで、拡大図なしでも分かりやすいガイドを実現している。

シンプルに見えながら、大きな交差点やインターチェンジ、ジャンクションのイラスト表示、走行レーン表示、ETCレーンの表示など、豊富なガイド機能を持つのも従来通りだ。走行中にチラッと見るだけでも次に曲がる場所と方向が読み取りやすく、それでいて様々な情報もきめ細かく表示されるnuviシリーズの美点は本機にも受け継がれている。

《山田正昭》

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