【GARMIN nuvi 3595 インプレ後編】Android OSゆえに実感できる車載専用機のメリット

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
オービスデータがプリインストールされており、接近するとこのような表示と警告音で知らせてくれる。現在の車速も表示されるところが新しい
オービスデータがプリインストールされており、接近するとこのような表示と警告音で知らせてくれる。現在の車速も表示されるところが新しい 全 16 枚 拡大写真

いまだ根強い需要のあるポータブルカーナビ。数多くのモデルをこのジャンルに投入してきたGARMINから、PND(ポータブルナビ)『nuvi(ヌヴィ)』シリーズに新たなコンセプトのモデル「nuvi 3595」が登場した。同製品はAndroid OSの採用を大々的に謳っているが、ではAndroidによってどんな機能が実現できているのか、実際に使ってインプレッションをお届けしたい。

◆地味ながらも確実に進化しているナビ機能

nuvi 3595はこれまでのGARMIN PNDの特長をうまく残しながら、ナビ機能は数多くの点で進歩している。いずれも派手な新機能ではないが、着実に完成度を高めているのは喜ぶべきことだ。まず挙げるべきは、本機にはジャイロ・加速度センサーが搭載された。これによりトンネル内でも自車位置が正しく表示され、都市高速にみられる地下のインターチェンジも正しくガイドができる。もちろん、GPS受信時の自車位置の精度も向上している。

加えてボイスコマンドにも対応した。これまでにもボイスコマンド機能を搭載したナビは数多くあったが、その使用感は今ひとつというものも少なくない。しかし、本機のボイスコマンドの認識率は非常に優秀。とにかく決まったコマンドだけでなく、施設名などの固有名詞や住所も高い確率で認識してくれるのは非常に便利だ。起動方法も簡単、ただ「ボイスコマンド」とナビに向かって言うだけで、画面にボイスコマンドの一覧が表示される。

ルート検索のインターフェースも改善され、目的地を検索すると従来の「出発」ボタンに加えて「ルート」、「i」ボタンが表示される。当然ながら「ルート」をタップすると走行ルート全体を確認することができる。気に入らなければ、ルート検索の条件を変更することも可能だ。検索されたルートを事前に確認するのが面倒なのはnuviシリーズの数少ない欠点だったが、これで完全に解消されたと言っていい。

そのほか、以前はユーザー自身がダウンロードする必要があったオービスデータがプリインストールされているのも嬉しい。買ってきたままの状態でオービスの接近を警告してくれる。しかも、警告の表示に加えて現在の速度も表示されるようになった。

VICSによる渋滞情報も進化、と言いたいところだが、この点だけはやや後退した。従来通りFM-VICSに対応するが、利用するには別売オプションのアンテナを購入する必要があるのだ。しかし、後述するように本機はインターネットに接続することが可能なので、ネット経由で渋滞情報を入手するオンデマンドVICSへの対応もぜひ望みたいところだ。

◆Wi-Fiでインターネットに接続

本機にはWi-Fiが搭載されており、これを通じてインターネットに接続することができる。Android端末としてできるべきことは全てできると言ってよく、YouTubeを見たりメールをチェックしたり、様々なアプリをインストールすることが可能。なお、本機にはBluetoothも装備されているが、それを通じてのネット接続はできず、ハンズフリーフォンとしての利用となる。

スマートフォンなどのテザリング機能を使えば、走行中にネット接続も問題なく可能だ。カーナビとしては、ネットに接続してもとくに機能が増えるということは無いようだ。しかし、例えば「radiko」アプリでラジオを聞きながらナビをさせるといったことは可能。メールアプリを設定しておけばメールの着信を知らせてくれ、カレンダーを設定しておけばスケジュールを知らせてくれる。この辺りはアイディア次第といえるだろう。

やや蛇足になるが、本機にカーナビアプリをインストールして使用することも、当然ながら可能だ。「Googleマップ」はダウンロードするまでもなく、プリインストールされている。ちょっと使ってみたが、nuviのボディの中でGoogleマップが動いていることに強烈な違和感を感じる以外は、特に問題なく使用できた。ほかのカーナビアプリは試していないが、おそらく問題ないだろうが、nuvi以外のアプリを使うほど、nuviがいかに車載向けに最適化されているかが実感できるはずだ。

ところでnuvi以外のナビアプリを利用できるというのなら、適当なAndroidタブレットを買ってカーナビとして使えばいいのでは? という気がしないでもない。しかし、これほど車載に都合がいい大きさや専用のクレードルが付属し、地デジまで見られるものは、市販のタブレットではないだろう。それに本機はAndroidの使い方を全く知らない人でも使えるように配慮されており、車載時はロック画面を省略するといった、カーナビとしての使用に特化した作り込みがなされている。ほかのAndroid端末ではnuviのような快適な使い心地は望めないだろう。

むしろ、本機は「カーナビを購入するとAndroid端末が無料でついてくる製品」とも言える。そう考えると非常にコストパフォーマンスが高い。最近はスマートフォンをカーナビ代わりに使う人も増えているが、最初は「これ1台でなんでもできて便利」と思っても、しばらくすると、やっぱりクルマに積みっぱなしにする専用ハードウェアがあったほうが便利だと気づくだろう。本機はカーナビ初心者はもちろん、そんな人にもうってつけの製品だといえる。

《山田正昭》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  2. 【フィアット 600ハイブリッド 新型試乗】意外にもBEV版よりスムースで快適! 価格にも「親近感」…島崎七生人
  3. 航続262kmの新型電動バイクが約10万円から、ビンファストが2モデル発表
  4. スバル『フォレスター』に早くも「理想の姿」と話題の特別仕様、「最初から出してよ!」の声も
  5. 今どき? ダウンサスが注目される理由とは…夏のカスタムHOW TOまとめ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
  5. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
ランキングをもっと見る